働きやすい社内環境が子育て社員をサポート

オーディオテクニカフクイは、2010年に「田園の中の研究所」どいうコンセプトで電波暗室や無響室など最高の開発施設を備えたモダンな新社屋を建設。恵まれた環境の中で、中野さんは顧客と打ち合わせを重ね、OEMの製品開発を進めている
オーディオテクニカフクイは、2010年に「田園の中の研究所」どいうコンセプトで電波暗室や無響室など最高の開発施設を備えたモダンな新社屋を建設。恵まれた環境の中で、中野さんは顧客と打ち合わせを重ね、OEMの製品開発を進めている

 今、中野さんが主に手がけているのは、OEMの製品開発。顧客の要求仕様をもとに社内で設計を行い、光学系部分を中野さんが担い、試作を重ね共同作業で製品をつくり上げていく。

 「最新の技術を使って、これまでにはなかった社会に役立つものを製品化しているところです。まったく新しいものを形にしていくところにやりがいを感じる反面、技術的な難しさも感じています」

 ただ、そうした壁も先輩のアドバイスに従って乗り越えてきた。「わからないことは恥ずかしがらずにどんどん聞くこと。きっと、相手は教えてくれるから」と。勤続10年以上の中堅ではあるが、例え基本的なことでも不明な点は素直に聞き、理解を深めることでスキルアップにつなげている。

 「苦労はしていますが、東京などの展示会に自分が手がけている製品が展示されているのを見たときは、とても嬉しかったですね。まだ開発途中の試作品ですが、これから完成度を上げていかなければと励みになりました」

 仕事に全力投球している中野さんだが、家庭生活も大事にしている。

 2011年に越前市で自営業の男性と結婚した後、2012年から1年おきに3子を出産。現在は、3人目の女児の育休が明けたばかり。

 「ここ数年は産休・育休と職場復帰を繰り返していますが、つわりがひどくなかったので、いずれのときも臨月まで出社していました。復帰後は育児短時間勤務制度を利用できるので保育所のお迎えも問題ありませんし、子どもの検診などで休まなければならない場合も、上司が子育てに熱心な“イクメン”なので育児に理解があり、とても助かっています。自営業の夫や同居している両親の協力も得つつ、仕事と子育てをやりくりしています」

 オーディオテクニカフクイの社員の約3割は女性だが、出産して会社を辞めるケースはゼロに近い。それは、産休・育休、時短制度はもちろん、同社では有給休暇以外に育児や介護に充てられる年間5日間の「看護休暇」を設けていたり、既婚者の社員は共働きが多く、子どもを持つ社員の気持ちがわかる同僚や上司が多かったりと、働きやすい社内環境が整っていることが大きい。

子育てにぴったりの自然豊かな越前ライフ

 会社や家族のサポートに加え、越前市の支援もあり、仕事と育児を両立できているという中野さん。

 また、越前市には子どもをのびのびと育てられる施設も整っている。

 「親類が東京に住んでいるのですが、兄弟を同じ保育園に入れるのが難しいと聞いてびっくり。越前市では出産前に保育所の入園予約ができるので、自分が希望する時期から兄弟一緒のところに預けられるので保活に悩むこともありません。また、館内に子育て支援センターがある『かこさとし ふるさと絵本館』もよく利用しています。親子で自由に絵本を読んだり、遊んだりできるだけでなく、スタッフの方々がいるので、3人の子どもをほどよく野放しにできるのがありがたいです」

 自然が豊かな越前市では、子どもたちが植物や生物と身近に触れ合えるのも魅力で、「子育ての場としては最適」という。

 中野さん自身、仕事と育児に追われる毎日でも、のどかな空気や緑の山々の景色に癒され、「ストレスフリーでいられる」という暮らしに満足している。

 「今は自分の時間が持てませんが、子どもがもう少し大きくなって手が離れたら、以前やっていたパーカッションを再開したいですね。弊社には音響ホールがあって、週末に音楽好きが楽器を持って集まり、セッションしているので、そこに参加するのが夢です。仕事については、今携わっている製品をできるだけ早く世に送り出すことを目標としています。また、結婚や出産を考えると技術職は選びにくいと思う女性は多いものですが、やり方によっては仕事も子育ても両立できるということを伝えられる、女性技術者のロールモデルになれるように努力していきたいです」

8年連続でシェアNo.1のヘッドホンをはじめとするオーディオテクニカの製品は、国内外の様々な権威ある賞を受賞。中野さんが働くオーディオテキニカフクイが、製造開発部門としてその品質を支える
8年連続でシェアNo.1のヘッドホンをはじめとするオーディオテクニカの製品は、国内外の様々な権威ある賞を受賞。中野さんが働くオーディオテキニカフクイが、製造開発部門としてその品質を支える
福井県越前市で働く
越前市には、認定こども園と保育園が私立・公立合わせて計24園ある。認定こども園とは、幼稚園と保育園の両方の機能をあわせ持ち、地域の子育て支援も行う施設のこと。保育園では通常の保育のほかに、延長保育、休日保育、一時預かりなどがあり、柔軟な対応で働くママやパパを応援する。

取材・文:後藤かおる  撮影:田中勝明

* この記事の年齢、役職などは取材時のものです

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