スポーツウエアの会社に入社し“負けず嫌い”の気質で着実にステップアップ。縫製チームのリーダーとして、世界のアスリートに高品質の「日本製」を提供する。
vol.11 濱 理恵さん(34歳)●アシックスアパレル工業 縫製リーダー

共働き率全国ナンバーワン(※)で、かつ出生率も全国上位を維持するなど、女性が産みやすく働きやすい環境が整っていることで有名な福井県。その中央部に位置する越前市は、女性の就労や子育てについて、とりわけ手厚い支援体制があることで知られている。
今回は、スポーツを支えるモノづくり企業に勤務する濱理恵さん(34歳)に、仕事のやりがいや子育て事情などについて聞いた。
苦手だからこそ、あえて仕事としてチャレンジ

ミシンを自在に扱い、正確に、かつスピーディーに製品を縫い上げていく。鮮やかな手さばきに、さぞかし子どもの頃からモノをつくることが得意だったのだろうと推察したところ……。
「それが全然(笑)。モノづくりに興味はなかったし、高校時代の家庭科の成績は低レベル。とくに、ミシンは大の苦手でした」
濱理恵さんはそう振り返る。であれば、なぜ今の仕事を選んだのかという問いに、「苦手だからこそ、あえて仕事としてやってみたかった」と返答。チャレンジャーである。
越前市に隣接する越前町に生まれ育ち、福井市内にある高校の商業科で学んだ濱さん。就職に有利になるように事務系の資格もいくつか取得したが、ひとつの求人に惹きつけられた。それが、アシックスアパレル工業だった。
同社は大手総合スポーツ用品メーカーであるアシックスの子会社であり、国内唯一のアパレル生産拠点。海外や国内のトップアスリート向けスポーツウエアや各種競技向けチームウエアなどの製造を行っている。
「中学時代に所属していた卓球部のユニホームやシューズがアシックスブランドでした。これが軽くて、動きやすくて、洗ってもすぐ乾く。すごくいいものだなという印象があったので、募集業務は縫製でしたが、苦手なことを克服し、アシックス製品をつくる仕事に携わりたいと思いました」
競争率2倍という入社試験では、家庭科は不得意科目であることを伝えたが、無事に合格。2003年より正社員となった。