2022年4月28日に、人気スピーチライター・ひきたよしあきさんの著書『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』出版記念セミナーを開催しました。参加者の皆さんから寄せられた上司とのコミュニケーションの悩みなどについて、ひきたさんがアドバイス。「そう返せばいいのか!」と膝を打つひきたさんの回答を記事にてお伝えします。

職場にいる北風上司と太陽上司

ひきたよしあきさん(以下、ひきた) 最初に本の内容を少しだけ紹介しましょう。北風上司と太陽上司という2人の上司が出てきます。ともに同じ世代で同期入社なんですが、会社に入ってからの生き方で、キャラクターが変わってきてしまったという設定になっています。北風上司は、営業担当で「成績を出す」ということを大事にしていて、言葉も大変きつい上司です。

 太陽上司はクリエーティブ担当。1回病気で休職しています。そのときの経験から人生を愉快に生きていくことをモットーにして、周りに非常に温かい言葉を投げかけています。本の中では、北風ことばと太陽ことばに分けて、いろいろな場面でどう言い方が違うのかを紹介しています。

『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』では北風ことばと太陽ことばを紹介。ひきたさん作成資料より一部抜粋
『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』では北風ことばと太陽ことばを紹介。ひきたさん作成資料より一部抜粋

 さて、具体的な例を挙げます。北風上司による、ミスをした部下を斬り捨てて追いつめる言葉です。昨年この書籍を執筆する際に、働く人々は日々、どんな言葉を浴びているのかを知りたいと考え、500人を対象にヒアリングをしました。その結果、とても多かったのがミスをした部下に対するこの言葉です。「こうなると、思ったよ。だから、私は言ったんだ!」と。

後出しじゃんけんにどう言い返す?

 このケース、実は上司は言ってないことが多いんです。部下が失敗したことに対して、逃げ口上として、「俺はあのとき、失敗するんじゃないかなと心配していたんだ」と、後出しじゃんけんをしているんです。部下はそのことに腹が立って、「仕事、辞めてやる!」と思ってしまう。さて、北風上司に対して、けんか腰にならないよう、どう反論すればいいでしょうか?