損保ジャパン取締役常務執行役員の酒井香世子さんと、キリンホールディングス(HD)常務執行役員の坪井純子さんによる対談。下編の今回は、人事担当の役員を務める2人に、ダイバーシティに関する業界別の現状や課題についてズバリ質問。女性管理職比率の増加や男性育休推進において大切なことを聞きました。

(上)女性に「優しく」でも期待しないは本末転倒/役員対談
(下)女性役員2人に直撃!経営メンバーに「多様性」入る意義 ←今回はココ

「やまとなでしこ問題」は大きな障壁

キリンホールディングス 常務執行役員 坪井純子さん(左)と損保ジャパン 取締役常務執行役員CHRO・CSuO 酒井香世子さん(右)
キリンホールディングス 常務執行役員 坪井純子さん(左)と損保ジャパン 取締役常務執行役員CHRO・CSuO 酒井香世子さん(右)

編集部(以下、略) ここからは各業界のダイバーシティ推進の課題について聞いていきます。まずは保険業界です。日経WOMANが行った「企業の女性活用度調査2022年版」で保険・証券・その他金融業界(回答535社中47社)の人員構成の平均値を見ると、正社員では女性が男性を上回っています。一方、管理職全体の女性比率は19%で、女性正社員比率との間に開きがあります

■「保険・証券・その他金融」業界の主な女性比率
正社員 社内・社外取締役 その他役員相当職 部長相当職 課長相当職 管理職全体(課長以上)
保険・証券・その他金融 51% 11% 7% 11% 22% 19%
出典/日経WOMAN「企業の女性活用度調査2022年版」。N=47

酒井香世子さん(以下、酒井) 今は過渡期だと思っています。従業員は女性のほうが多いことを考えると、女性管理職比率19%という数字はまだまだ物足りないかもしれません。

「女性従業員が多いことを考えれば、現在の女性管理職比率は物足りない」(酒井さん)
「女性従業員が多いことを考えれば、現在の女性管理職比率は物足りない」(酒井さん)

 私自身は、「やまとなでしこ問題」が大きな障壁だと思っています。女性には自分のキャリアを過小評価している人が多い。管理職になる前からあれこれ妄想して、「私には無理」と決めつけているところがあります。

 女性管理職候補者向けに研修を実施していますが、特に最初の頃は上司が「推薦したから行ってきて」と言っても、「私なんて」と尻込みする女性が多かった。ただ、回を重ねていくうち「あの人が参加したなら、私も」という空気になってくる。さらに、いろいろな人が機会を生かして活躍し始めると、次第に「私も、私も」と手が挙がるようになってきます。この10年で、女性社員の意識も本当に変わったと思います。