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縮まらない男女の賃金格差

男女賃金格差 35年で前進も解消に壁 乗り越えるには

早稲田大学教育・総合科学学術院 黒田祥子教授/女性の昇進意欲の低さを考える上で着目すべきポイントは

Terraceで話題!

データ分析が、企業のすべきこと

 最後に、企業と国が男女の賃金格差解消に向けてすべき行動にはどんなことがあるのか聞きました。

 企業ができることは、人事データを活用して丹念に分析することだと黒田さんは言います。企業の中にどのような固定観念や課題が隠れているのかが見えてくるからです。

 例えば、昇進した社員のデータを比較することで「この上司の下では男性のほうが昇進しやすい」「長時間働く人のほうが昇進しやすい」など、昇進する社員の特徴や傾向を読み取ることができます。また、360度評価や社員の満足度調査などを組み合わせて、なぜこの上司の下では女性が昇進しにくい傾向があるのかを理解することも可能になります。このようにデータを活用し、実態を可視化することで、職場の課題やそれに対して取るべき対策も見えてくるでしょう。

人事データを分析すると、企業の中にどのような固定観念や課題が隠れているのかが見えてくる
人事データを分析すると、企業の中にどのような固定観念や課題が隠れているのかが見えてくる

 行動を起こさなくてはいけないという企業の危機意識を高めるために、国はより踏み込んだ情報開示を企業に求めていくことが大事だ、と黒田さんは言います。例えば、女性管理職の割合などの数字目標を掲げ、その数値上の達成のみに注目するのではなく、数値が達成されない場合は各企業がその課題を明確化し、どのような取り組みを行っていくかについても積極的に開示していくなどです。

 また、リーダーは男性、サブリーダーは女性といったステレオタイプの体制は、小学校や中学校などでもいまだに見られます。就学あるいは就学前の段階から固定観念を変えていく教育を地道に取り組む必要があるとのこと。「国と企業が積極的に改善への流れをつくっていけば、徐々に社会規範が変化し、男女間賃金格差の解消につながっていくのではないでしょうか」

【参考論文】
*1 厚生労働省(2021)「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」厚生労働省、URL:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html(参照日:2022年4月27日)
*2 厚生労働省(2002)「男女間の賃金格差問題に関する研究会報告(総論の概要)」厚生労働相、URL:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/11/s1129-3b.html(参照日:2022年4月27日)
*3 内閣官房内閣広報室(2022)「新しい資本主義実現会議」首相官邸、URL:https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202205/20shihon.html(参照日:2022年5月23日)
*4 内閣官房内閣広報室(2022)「経済財政諮問会議・新しい資本主義実現会議合同会議」首相官邸、URL:https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202205/20shihon.html(参照日:2022年6月7日)
*5 Leibbrandt, A. & List, J. A. (2015). Do Women Avoid Salary Negotiations? Evidence from a Large-Scale Natural Field Experiment. Management Science, 61(9), 2016-2024. Retrieved from: https://www.jstor.org/stable/24551582
*6 Hara, H. & Rodriguez-Planas, N. (2021). Long-Term Consequences of Teaching Gender Roles: Evidence from Desegregating Industrial Arts and Home Economics in Japan. IZA Discussion Papers, 14611, 1-53. Retrieved from:https://www.iza.org/publications/dp/14611/long-term-consequences-of-teaching-gender-roles-evidence-from-desegregating-industrial-arts-and-home-economics-in-japan
黒田祥子
早稲田大学教育・総合科学学術院 教授
慶応義塾大学経済学部卒、同大学博士(商学)。日本銀行金融研究所、一橋大学経済研究所准教授、東京大学社会科学研究所准教授、早稲田大学教育・総合科学学術院准教授を経て、14年4月より現職。専門分野は労働経済学、応用ミクロ経済学。

取材・文/福井麻乃(日経xwoman) イメージ写真/PIXTA

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