音楽や映画のフェスティバルと、メディアやイノベーションを議論するビジネスカンファレンスで構成する世界的な複合的イベント「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」が2021年はオンラインで開催された。米Twitterを発掘したことで知られるSXSWは、スタートアップがメジャーになる登竜門の一つとも言われる。一方でコロナ禍を通して、女性創業者を巡る苦悩も垣間見られる。
SXSWは米国テキサス州オースティンで毎年3月に開催されていたが、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で直前に中止となった。今年は、完全オンラインで復活。3月17、18日に、世界中から応募したスタートアップがプレゼンテーションピッチを行う「SXSW Pitch」を開催した。
13回目となったSXSW Pitchでは、「エンターテインメント、ゲーミング&コンテンツ」「AI、ロボティクス&ボイス」「イノベーテッド・ワールド・テクノロジー」など、8分野で合計40のスタートアップがピッチを繰り広げた。各分野からそれぞれ勝者をえりすぐった。
なかでも審査員が意義を高く評価していたのは、ニューヨークのスタートアップ、リーダ・ヘルス(Leda Health)だ。「ヘルス、ウエアラブル&ウェルビーイング」分野の勝者であり、性的暴行への対処を支援するキットを提案した。
性被害の経験から…支援キットを開発
共同創業者でCEO(最高経営責任者)のマディソン・キャンベル氏自身も性的暴行にあった体験があり、そうした被害に立ち向かうため2019年にリーダを創業した。
「米国では被害者の77%が性的暴行を受けても報告していない。私自身、性的暴行を受けた経験があるが報告していない。恐怖、恥、報告(の労力)、誰かに体を触られたくないといった理由で報告していないのだ。そこで自宅ですぐに利用できる証拠収集のキットを開発することに思い至った」(キャンベル氏)