女性スタートアップへの出資は全体の2%

 米国ではこうした女性創業者によるスタートアップが次々と生まれている。大企業にも女性のCEOや役員が多いイメージがあり、スタートアップでも多くの創業者が男性と渡り合っているように思うかもしれない。

 しかしスタートアップ情報を収集している米クランチベースのデータを見ると違う側面が見えてくる。2020年1~12月中旬を対象に、女性が起業したグローバルのスタートアップ約800社の調達額を同社が集計した。合計で49億ドル(約5341億ドル)の出資を受けたものの、前年比で見ると27%も減っているという。

 20年は新型コロナウイルスの感染拡大という変動要因があったものの、クランチベースによると全体としては20年に前年比で4%伸長している。リモートワークなど新しい生活形態に向けた新サービスを開発するスタートアップへの投資が活発だった。また、創業者が女性のみのスタートアップに対する投資は20年に全体額の2.3%にとどまった。こちらも19年から0.5ポイント下がっている。

 スタートアップに投資する側のベンチャーキャピタリストの問題もありそうだ。リーダのキャンベル氏は21年5月に掲載されたメディアのインタビューで、そうした課題を指摘している。

 男性のベンチャーキャピタリストにキットを説明したところ、男性に対するえん罪の可能性について心配しているとの考えを示したという。他のベンチャーキャピタリストは、共同創立者の女性のプレゼンテーション資料の写真が性的暴行を誘発しているのではと指摘したという。

 もっとも女性のスタートアップは着実に成果を上げている。米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が18年に発表した調査によると、創業者に女性を含むスタートアップは1ドルの投資に対して平均で78セントのリターンがあった。これは男性創業者だけのスタートアップ平均の同31セントの倍以上である。

 こうした女性を巡るスタートアップの状況は日本でも同様だろう。投資側であるベンチャーキャピタリスト、そして起業家である女性、両者の層を厚くしたうえで、相互の理解が求められる。BCGの調査にあるように女性のスタートアップのほうが好成績を残せるのであれば、おのずとそうした方向に向かうだろう。

取材・文/市嶋洋平(日経BPシリコンバレー支局)