2021年6月10日発売の『早く絶版になってほしい #駄言辞典』(日経BP)。ジェンダーにまつわるステレオタイプから生まれる400を超える「駄言」を、エピソードとともに掲載している本書から、駄言の実例とその駄言を生んでいる背景の分析を公開。第7回では「キャリア・仕事能力」に関する駄言と、要因「その3」を紹介します。

「女性から管理職出さないとなッ」

「女性から管理職を出す」という方針自体は正しい。でも、すべきことはそれだけではありません。性別によらず、働くメンバーの能力を引き出し、機会も均等に与えた結果を公平に見て判断することが大事。それがたまたま女性だった……というのが理想です
「女性から管理職を出す」という方針自体は正しい。でも、すべきことはそれだけではありません。性別によらず、働くメンバーの能力を引き出し、機会も均等に与えた結果を公平に見て判断することが大事。それがたまたま女性だった……というのが理想です

 日本政府は2003年に「2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%にする」という目標、通称「2030(ニイマルサンマル)」を打ち出しました。しかし、残念ながら2020年7月にこの目標の達成は見送られ、代わりに「2020年代の可能な限り早期」での達成を目指すという方針が示されました。

 2020年7月の帝国データバンク調査を見ると、女性管理職割合の平均は、たったの7.8%にとどまっています。政府目標の「30%」を超える企業は7.5%と微増しているものの、目標からは依然としてはるか遠い地点にいるのが現状です。

 ここでいま一度確認すべきことは、女性管理職割合の目標を達成するために、能力を度外視して「女性を管理職にすればいい」わけではないということ。

 性別に関係なく、個々の社員の能力を伸ばし、最適な人材を管理職に任命したら、それがたまたま女性だった……というのが理想です。

 一方で、経営者や管理職の人たちに話を聞くと、「男性は自分の実績を上司にプレゼンするのが得意な傾向がある」「女性は自分の能力を実際よりも低く評価しがちである」「現在の管理職に男性が多いため、企業や管理職が強く意識しなければ、女性を管理職に、という発想が生まれにくい」といった指摘もあります。日本企業でも、役員など主要ポジションの一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」を導入すべきだという専門家もいます。今後の動きに要注目です。


【書籍情報】
ジェンダーにまつわる
アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)による
1200もの「駄言」が教えてくれたものとは?


早く絶版になってほしい
『#駄言辞典』

編集:日経xwoman
発行:日経BP
定価:1540円(10%税込)
 Amazonで購入する

【目次】
・駄言とは?
・まえがき
・第1章…実際にあった「駄言」リスト
 女性らしさ/キャリア・仕事能力
 生活能力・家事/子育て
 恋愛・結婚/男性らしさ
・第2章…なぜ「駄言」が生まれるか
 スプツニ子!/出口治明/及川美紀
 杉山文野/野田聖子/青野慶久
・第3章…「駄言」にどう立ち向かえばいいのか
・あとがき