2021年6月10日発売の『早く絶版になってほしい #駄言辞典』(以後、『#駄言辞典』)。ジェンダーにまつわるステレオタイプから生まれる400を超える「駄言」を、エピソードとともに紹介している本書を、ジャーナリストの治部れんげさんはどう読んだのでしょうか。

まだこんなことを言っている人がいるのか

 『#駄言辞典』を電車内で読み始めたのですが、あまりに腹が立ち、いったん読むのを止めて家に帰ってから読み直しました。一つひとつの駄言の内容もすごいですが、たくさん集まることでさらに破壊力が増しますね。全編にわたり、読み応えがありましたが、特に会社の中で言われている駄言を読むと、「まだこんなことを言っている人がいるのか」とあぜんとしてしまいました。こんなことを続けているから、日本のジェンダーギャップ指数が120位にとどまっているのでしょう。

 駄言が生まれる構造を説明すると、問題点が2つ挙げられると思います。まずは、本書でも述べられている通り、「無意識のバイアス(偏見)」です。でも、それだけではないのです。もう1つ、見逃してはならないのは「上位者によるハラスメント」という視点です。

駄言を生む原因は「アンコンシャスバイアス」と「上位者によるハラスメント」であると、治部れんげさんは指摘する
駄言を生む原因は「アンコンシャスバイアス」と「上位者によるハラスメント」であると、治部れんげさんは指摘する

【書籍情報】
ジェンダーにまつわる
アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)による
1200もの「駄言」が教えてくれたものとは?


早く絶版になってほしい
『#駄言辞典』

編集:日経xwoman
発行:日経BP
定価:1540円(10%税込)
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【目次】
・駄言とは?
・まえがき
・第1章…実際にあった「駄言」リスト
 女性らしさ/キャリア・仕事能力
 生活能力・家事/子育て
 恋愛・結婚/男性らしさ
・第2章…なぜ「駄言」が生まれるか
 スプツニ子!/出口治明/及川美紀
 杉山文野/野田聖子/青野慶久
・第3章…「駄言」にどう立ち向かえばいいのか
・あとがき