年齢や立場が上の人によるハラスメントの構造

 次の駄言についても、同じことがいえます。

「子どもが病気のときに、男が休みを取って意味があるの?」

子どもが熱を出し、急な有休を申請した際、女性の先輩から言われました。そちらの家の父親は分かりませんが、私は看病できますが何か?
『#駄言辞典』185ページより

 これも誰が誰に駄言を言っているかという点に注目すると、職場で先輩が後輩に言っているわけです。仮に、この「子どもが熱を出した」のが、大口の取引先の男性社員だったとしましょう。「子どもを看病するために打ち合わせを延期してほしい」――、こう言われたのだとしたら、この先輩はおそらく「全然問題ありません。お子さん、早くよくなるとよいですね」などと言っていたのではないでしょうか。

 要は、年齢や立場が上の人によるハラスメントの構造。これも駄言を生み出す背景にあるのです。

次は匿名ではなく、社名入りでの報道を期待

 また、本書には実際に言われた駄言が400以上掲載されており、「あるある」と思いながら読んで留飲を下げるという効果は確かにあります。でも、それで満足してしまってはいけません。今回は匿名による投稿という方法で駄言を集めていますが、今後の取り組みとしては、ぜひ、企業に取材をし、社名入りで報道してほしい。例えば、2019年、化学メーカーのカネカにおけるパタハラ問題をメディアが社名入りで報道したことにより、企業は社会的な制裁を受けました。

言われた側も、固有名詞を出して、公然と指摘してほしい

 先ほど紹介した2つ目の駄言では、駄言を言われた側の人は、その後、その会社における選考プロセスを進めることを「辞退」したと書かれていました。これは正しい行動です。駄言を言った側が、何らかの罰を受けるようにすることは有効です。今後は駄言を言われた側も、できるならば、固有名詞を出して発言をし、問題点を公然と指摘していくほうがよいと私は思います。