全社員で読み、議論を

 企業側にはぜひ本書を全社員に渡し、「こんな駄言を社内で言われたことがありますか?」と社員に聞いてほしいです。おそらく、全社を挙げてSDGsなどのプロジェクトを推進しているような大きな先進企業内でこそ、こうした駄言が言われているのではないでしょうか

 会社全体として先進的で優れた取り組みをしていたとしても、特定の部門にハラスメント体質の人が1人いるだけで、その部門の体質がおかしくなる可能性は十分にあり得ます。たくさんの社員が働く大企業でこそ、こうした事態が発生する確率は高いのではないでしょうか。

人が人として尊重されるか

 本書は主にジェンダーにおける駄言を取り扱っていました。実際は、ジェンダーに限らず、「人が人として尊重される社会や組織であるかどうか」が重要です。年齢の高い男性が「加害者」で、女性は常に「被害者」であるという単純な構造であるとも限りません。女性の側にだって気を付けなければいけないことがたくさんあるのです。

 最後に。本書の内容をどう受け止めるかは、その人の考え方の基本的なスタンスをよく反映するのではないかと思います。例えば、「この本は良い本だけれど、内容が鼻につく人もいるかもしれない」とか、「そんなに目くじらを立てなくてもいいのでは?」なんて反応する人がいたら要注意です。自分が駄言を言っているという自覚がどこかにあるからこそ、そうした発言をしてしまうのではないかと思います。

取材・文/小田舞子(日経xwoman) イメージ写真/PIXTA