2021年6月10日発売の『早く絶版になってほしい #駄言辞典』(日経BP)。ジェンダーにまつわるステレオタイプから生まれる400を超える「駄言」を、エピソードとともに掲載している本書から、駄言の実例とその駄言を生んでいる背景の分析を公開。第11回では「生活能力・家事」に関する駄言と、その要因を紹介します。

「男は仕事、女は仕事と家庭」という不公平な現実

 本連載では、主に職場における駄言について紹介してきました。さて、家庭では、どのような光景が広がっているでしょうか。1997年を境に、専業主婦世帯数を共働き世帯数が追い抜き、その後も共働き世帯が増え続けており、「男は仕事、女は家庭」という固定観念と現実は大きくかけ離れてきました。

 しかし、夫婦の家事・育児関連時間には、いまだに大きな隔たりがあります。内閣府『平成30年版男女共同参画白書』によれば、1日当たりの妻の家事・育児関連時間は7時間34分で、夫は1時間23分(妻の家事・育児時間が、夫の約5.5倍)。そのうち育児時間は、妻が3時間45分で、夫は49分です(妻の育児時間が、夫の約4.6倍)。

 この数字から、「男は仕事、女は仕事と家庭」という不公平な現実が透けて見えます。

 また、コロナ禍の失職者には女性が多く、女性の収入は家計の補助にすぎないとみなす社会背景も指摘されています。

 他国の場合はどうでしょうか。比較的、男女間での差が小さいスウェーデンでは、妻の家事・育児関連時間が5時間29分で、夫は3時間21分(妻の家事・育児時間が、夫の約1.6倍)。育児時間は、妻が2時間10分で、夫は1時間7分です(妻の育児時間が、夫の約1.9倍)。

 この問題について、若い世代はどのように考えているのでしょう。男子大学生に対する調査では、「将来自分が結婚する女性には、結婚後も働き続けてほしい」と考える人が増えています。第11回「マイナビ 2021年卒 大学生のライフスタイル調査〈働き方編〉」によれば、「夫婦共働き」を希望する割合は、男子が前年比7.0ポイント増の56.5%、女子が同3.5ポイント増の74.3%。男子で初めて5割を上回り、男女共に調査開始以降で最多となっています。これを見ても、共働き世帯数はこれからも伸び続けていくであろうことが予想されます。

 家事・育児の分担についてはどうでしょうか。内閣府「家族と地域における子育てに関する意識調査」(平成25年度)の「家庭での育児や家事の役割」に関する調査結果を見ると、男性でも、年齢が若ければ若いほど「妻も夫も(育児や家事を)同様に行う」と考える割合が多いことが分かります(参考:20代は43.8%、30代は43.6%、40代は42.6%、50代は38.2%、60代は31.7%)。

 しかし現時点では、結婚後、家事・育児を妻が多く担うケースや、妻一人で行う「ワンオペ」のケースが多いことは否めません。

 「女性は家庭」という固定観念を覆すための一助になり得るのが、政府による男性の育児休業取得の義務化です。こうした「家の外からの強制力」もうまく使い、古い性別役割分業意識を徐々にでも消滅させられますように。


【書籍情報】
ジェンダーにまつわる
アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)による
1200もの「駄言」が教えてくれたものとは?


早く絶版になってほしい
『#駄言辞典』

編集:日経xwoman
発行:日経BP
定価:1540円(10%税込)
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【目次】
・駄言とは?
・まえがき
・第1章…実際にあった「駄言」リスト
 女性らしさ/キャリア・仕事能力
 生活能力・家事/子育て
 恋愛・結婚/男性らしさ
・第2章…なぜ「駄言」が生まれるか
 スプツニ子!/出口治明/及川美紀
 杉山文野/野田聖子/青野慶久
・第3章…「駄言」にどう立ち向かえばいいのか
・あとがき