2021年6月発売の『早く絶版になってほしい #駄言辞典』(日経BP)。ジェンダーにまつわるステレオタイプから生まれる400を超える「駄言」を、エピソードとともに掲載している本書を、ブロガー・作家のはあちゅうさんはどう読み解いたのでしょうか。
「炎上予防書」としておすすめ
今、フェミニズムが再注目されて、雑誌などで特集されていることもありますよね。関連本も出ていますが、その中でも『#駄言辞典』はパッと手に取りやすく、いろいろ考えるきっかけになる本だと思いました。
本を読んで、仮にフェミニズムの概論を知ったとしても「じゃあ具体的にどうすればいいの?」というところで足踏みをしてしまいがちではないかと思うんです。でも『#駄言辞典』には「こういう考え方がダメだ」ということが凝縮されていて、面白く、かつ、学びながら読めました。
ジェンダーに関して、すごくデリケートな話題を雑に扱ってしまって炎上する広告も多いので、企業の広報担当者などが「炎上予防書」として読むのもおすすめです。
「言わないように気を付けよう」と思う駄言も
第1章の駄言リストには「分かる、分かる」と共感するだけではなく、「つい言ってしまいがちだから、自分も気を付けよう」と思ったものもありました。
本にあった「主婦感覚で」「女子会」「女子が好きなやつ」「女性におすすめ」といった言葉は、特に無意識に悪気なく言ってしまいがちですが、これらはステレオタイプの押しつけですよね。今後は、こういう言葉には気を付けないといけないんだな、と肝に銘じました。
職場でコスト減になる意見を言ったら言われた。いや、ここ婚姻の有無関係ない話だろう? とにかく勝手にくくらないで。真剣に考えた私の意見です。
「女子が好きなやつ」
テレビでのグルメ特集でこのセリフが聞こえてくると一気に萎えてしまう。マーケティングなんかの結果、食の好みに性差があるかもしれないけど、いわゆる「女子が好きなやつ」を好きな男性がそれを好きだと言いにくい、食べにくい、恥ずかしいとなる場合もない?
「女子会」
全員がアボカドサーモン食べてません。立ち飲みとか日本酒とか好きなんです。
「女性にオススメの味です」
味覚を性別で分けないでください。

【書籍情報】
ジェンダーにまつわる
アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)による
1200もの「駄言」が教えてくれたものとは?
早く絶版になってほしい
『#駄言辞典』
編集:日経xwoman
発行:日経BP
定価:1540円(10%税込)
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【目次】
・駄言とは?
・まえがき
・第1章…実際にあった「駄言」リスト
女性らしさ/キャリア・仕事能力
生活能力・家事/子育て
恋愛・結婚/男性らしさ
・第2章…なぜ「駄言」が生まれるか
スプツニ子!/出口治明/及川美紀
杉山文野/野田聖子/青野慶久
・第3章…「駄言」にどう立ち向かえばいいのか
・あとがき