「男だけでディズニー(自虐トーンで)」
すべての属性の人に対して失礼。

「スイーツ男子」
『#駄言辞典』201ページより

 こういった言葉は、メディアや仲間同士の会話で使われがちです。使う側に罪悪感はないかもしれませんよね。

 「この本に掲載されている駄言は、全部言っちゃダメだよ」という簡単な話でもない。駄言になる確率が100%に近いフレーズもあるし、「全員ではないけれど、言われた相手を不快にする場合もある」というフレーズも載っています。この本は、読んで一人ひとりが考えなければいけないんです。そこが難しくもあり、大切なところでもあります。

過剰な優しさは可能性を摘む

 第2章のポーラ社長・及川美紀さんのインタビュー記事には、「過剰な優しさは時として人の可能性を摘んでしまうもの」という言葉がありました。これは私が以前勤めていた広告会社の社内で見てきた光景だな、と感じましたね。

 子育てを始めた女性が保育園に子どもをお迎えにいかないといけない時間が来たとき、「○○さんは先に帰っていいよ」「○○さんは××のミーティングに出なくていいよ」と、周りの男性社員が気を使って言っていたんです。言われた女性社員はそれを負い目に感じてしまって。そうしたことが繰り返されて「私はこの部署にいてはいけないのではないか」と思い始めたようです。結局その女性社員は、クリエイティブな仕事から離れて、バックサイドの仕事に回っていました。せっかくクリエイターとして働けていたのに、定時で帰宅できる部署に異動して。あれも「可能性を摘んでしまった」事例だったのかもしれないと思うんです。

「もう、○○さんは先に帰っていいよ」「○○さんは××のミーティングに出なくていいよ」という気遣いの言葉が、働く母親を追い詰めているかもしれない
「もう、○○さんは先に帰っていいよ」「○○さんは××のミーティングに出なくていいよ」という気遣いの言葉が、働く母親を追い詰めているかもしれない

 その女性に本心を尋ねていれば事態を改善できたかというと、そんな単純な話でもないような気がします。なぜなら女性社員が「自分自身がどう働きたいのか」という「自分の本当の望み」に気づく前に、周りが勝手に「道」を作ってしまった、という感じだったから。彼女自身がどうしたかったのかは、誰も聞いていないので分かりません。でも、周りが勝手に先回りして、「女性は子育てが大変だよね」と気を使って道を作ったのは事実。その道に乗っていくことが、果たして彼女にとってベストな選択だったのか……、いまだに疑問です。

 確かにコミュニケーションで、本心を伝える・聞くというのは大事です。でも、働く親の誰もが「自分がどんな仕事をしていきたいか」という明確な思いをしっかり持っているかというとそうではないと思います。先輩や周りの社員がやってきたこと、もしくは、やっていることを、何となくなぞって、「自分も同じようにしなくては」と思うことも多いのではないでしょうか。

 だからこそ、いろいろなロールモデルが社会にあることを知らなければいけない。知らなければ自分が本当に進みたい道は分からないように思います。