この100年間で日本の女性が得たものとは?

日経xwoman編集部(以下、――) 中村さんの著書にも紹介されていた、与謝野晶子氏の『「女らしさ」とは何か』が書かれてから、2021年でちょうど100年目です。この100年で、日本の女性たちが得たもの、得られなかったものをどう振り返りますか?

中村さん 「日本の女性たちが得たもの、得なかったもの」という表現は、女性たちが「何を欲しいと思ったか」ということと対にして語られるべきだと思います。ですからここでは「何が変わったか」という言い方でお答えします。

 私は日本の女性は、これまでの歴史の中で、かなりの行動の自由を得たと思います。私たちの若かりし頃は、女性がサッカーやラグビー、ボクシングなどのスポーツをするなんてことは、全然考えもしなかったわけです。仕事でも、女性が(建設工事などの)現場監督をするといった発想はありませんでした。こう考えてみると、日本の女性たちの行動の自由は、以前では考えられなかったほど大きく広がったといえるでしょう。

 私たちのさらに先輩世代の女性たちに昔の女性の生活について尋ねると、「大学に入ったらまず女性用トイレを作る運動から始めた」「働き始めたら保育園を作るための運動をした」といった話から始まっていましたから。

―― 確かに素晴らしい前進ですが、やや悲しい現実のようにも感じますね。

中村さん でも、仕方がないのではないでしょうか(苦笑)。

―― そういった話を改めて聞くと、確かに日本の女性たちを取り巻く環境は、とてもドラスティックに変わっている感じがします。

中村さん 1970年代に日本で起きたフェミニズムの動きが社会を大きく変えたと思います。

―― ということは、今、問題視されている性別役割分業も「なくそう」「変えよう」と訴え続けていればいつかはなくなると考えてよいのでしょうか。

中村さん なくなるようにするんです! 私は最近いろいろな方とお話しをする中で「女らしさ」というイデオロギーの部分では、逆に、今の女性たちのほうが昔の日本の女性たちよりも縛られているのではないか、という印象を持っています。