成績トップ層に女性の学生はいる 現状を見よ

「女の子に学つけてもね……」
「女の子だからそんなに勉強頑張らなくてもいいよ」
『#駄言辞典』22ページより

 僕が名誉教授を務めている京都大学でも、成績トップ層に女性の学生は必ずいるんです。こうした大学に入る学生たちは相当勉強してきています。実は、新しい教授が誕生するのは、だいたい20年に1度。そのタイミングにおいて、一番優秀な人材が女性であっても、教授会が男性を教授に選ぶことは残念ながらあります。こうした場でもジェンダーのふるいがかかってしまうのですね。こうした面で日本はまだまだ遅れています。そうした現実も知っている僕は、これらの駄言を目にするとあきれ果てます。

 性別に関係なく、優秀な人は優秀です。男性、女性に関係なく、優秀な人は迷わず教授にして、ノーベル賞を取ってもらわなければいけないのです。

「女のくせに、大学行きたいなんて言うな! 女は高卒でよい!」
高校1年生だった頃、実父に進路の話をして言われた言葉。20年たった今でも、この言葉をどこかで踏み台にしながら生きている。
(神奈川県・あのっぴ・40代・女性)

「女の子が大学に行っても仕方がない。高卒で十分」
娘さんがいる女性に言われてびっくりした。
『#駄言辞典』23ページより

 京都大学、東京大学はもちろん、米ハーバード大学、英ケンブリッジ大学でも、成績トップ層に女性の学生が入っています。僕の母校である東京大学の学部生に占める女性の割合は、2021年まで2割を超えたことがなかった(2021年に初めて2割を超えて、21%となった)。でも、教養課程のある駒場のクラストップは女性の学生で、僕なんかとてもかなわなかった。

 現在、京都大学の学生の約2割が女性です。工学部だけ見ると、女性は1割以下。工学部に在籍する学生数4000人超のうち、トップ10人には当たり前に女性がいます。母集団が少ないのにトップ10に入るのはすごいことです(※2020年5月調査によると、京都大学における学部学生数の女性比率は全体で22.1%。工学部は9.9%)。

「大学で成績トップ層に女性が入っている実態を知っている僕は、『なんだこの駄言は』と思ってしまいます」(鎌田さん) (画像はイメージです)
「大学で成績トップ層に女性が入っている実態を知っている僕は、『なんだこの駄言は』と思ってしまいます」(鎌田さん) (画像はイメージです)