2021年6月発売の『早く絶版になってほしい #駄言辞典』(日経BP)。ジェンダーにまつわるステレオタイプから生まれる400を超える「駄言」を、エピソードとともに掲載している本書から、駄言の実例とその駄言を生んでいる背景の分析を公開。第27回では「男らしさ」に関する駄言「その2」を紹介します。
「男なんだし残業くらいしろー」
女性に対するさまざまな社会的なプレッシャーがあるのと同様に、男性にもさまざまなプレッシャーがかかっています。「男性なのだから体力・気力が尽きるまで仕事をすべきだ」「家庭よりも職場を優先すべきだ」……こうした古い考え方がいまだに残る職場はあります。
「男性学」研究者の田中俊之さんは、著書『男がつらいよ』(KADOKAWA)の中で、次のように言っています。
「職場では長時間残業、休日出勤、はたまた転勤にも柔軟に対応し、私生活では女性をデートに誘い、愛の告白も自分からするなど関係性をリードして、結婚して子どもを持ち、家も買って人生のさまざまな場面における『達成感』を得なければいけない。そんなプレッシャーに常に耐える性、それが男性だ」と。
そして、それが男性の幸福度の低さにつながっているといいます。内閣府『平成26年版 男女共同参画白書』によると、女性の幸福度が34.8%であるのに対し、男性は28.1%です。また、厚生労働省・警察庁「令和2年中における自殺の状況」を見ると、男性の自殺者が女性の約2倍であることが分かります(男性が66.7%、女性が33.3%)。
職場や社会における男性優位の環境では「従来の男性の加害者性は否めない」と田中さんは指摘します。その一方で、男性ならではの「生きづらさ」も事実として存在しており、これらを解決するには、性差別の解消とすべてのジェンダーにおける平等の達成が必要ということになるのです。
心を病んで少しだけお休みが欲しいと、義理の両親に打ち明けたときの話。パワープレイで数十年乗り切ってきたゴリゴリ系経営者の義父には、ただの弱音に映ったようで。完全アウェイの中、ひたすら責められたなぁと。(ツイッターより)
*「駄言」の紹介は、まだ続きます。

【書籍情報】
ジェンダーにまつわる
アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)による
1200もの「駄言」が教えてくれたものとは?
早く絶版になってほしい
『#駄言辞典』
編集:日経xwoman
発行:日経BP
定価:1540円(10%税込)
→ Amazonで購入する
【目次】
・駄言とは?
・まえがき
・第1章…実際にあった「駄言」リスト
女性らしさ/キャリア・仕事能力
生活能力・家事/子育て
恋愛・結婚/男性らしさ
・第2章…なぜ「駄言」が生まれるか
スプツニ子!/出口治明/及川美紀
杉山文野/野田聖子/青野慶久
・第3章…「駄言」にどう立ち向かえばいいのか
・あとがき