世界経済フォーラム(WEF)による「ジェンダーギャップ指数2022」で、日本は146カ国中116位。低迷する順位の向上には何が必要でしょうか。ジェンダーと政治を専門に研究し、女性議員の育成プログラムを主宰する上智大学教授・三浦まりさんに話を聞きました。2022年3月に三浦さんらが公表した「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」から見えてきた地域別の特色や男女格差是正への道筋とは?

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 ジェンダーギャップ指数はグローバルな視点から見た指標の1つですが、評価される時点と努力結果が反映されるまでにタイムラグが生じるものです。今回順位の数値としては上がっていますが、2021年の156カ国中120位に対して、2022年は146カ国中116位。最下位から数えた順位では後退したとも取れ、経済スコア、総合スコアともに昨年の数値より下がっています。目先の順位にとらわれ過ぎず、ジェンダー平等で世界に出遅れた日本の現在地を見つめ、どうやって格差是正を進めていくべきか、引き続き声を上げていくことが大切です。

 ここ1年の主な動きとして、21年10月の衆議院議員総選挙で、女性議員比率が前回の10.1%から9.7%に後退しました。岸田文雄内閣の女性閣僚は3人と前内閣に比べて1人増えましたが、全閣僚に占める女性比率は15%とG7の中で最低水準です。22年7月に行われた今回の参議院議員通常選挙では、改選議席125議席のうち女性議員は過去最多となる35人が当選(前回2019年は28人)。立候補した女性の数は181人(全候補者に占める女性候補者比率は33.2%)と、全体候補者に占める女性候補者比率とともに過去最多となりました。今回の選挙では女性候補者・当選者が過去最多となった点で評価できますが、ジェンダー平等に尽力してきた女性議員が複数落選しています。今回の女性議員増加がジェンダー平等政策の進展につながるかどうか、今後厳しい目で見極めていく必要があるでしょう。

「ジェンダーギャップ指数2022」で日本の順位は116位。教育分野での高評価や調査国減の影響もあり順位は上がるも、依然下位低迷している。そんな中、政治において2022年7月第26回参議院選挙での女性当選者は35人と過去最多の28人を上回った(写真はイメージ)
「ジェンダーギャップ指数2022」で日本の順位は116位。教育分野での高評価や調査国減の影響もあり順位は上がるも、依然下位低迷している。そんな中、政治において2022年7月第26回参議院選挙での女性当選者は35人と過去最多の28人を上回った(写真はイメージ)

格差是正に前進 コース別人事制度や非正規雇用も問題

 経済の分野では、21年6月に「企業の中核人材における多様性の確保」などが盛り込まれたコーポレートガバナンス・コードの改訂があり、22年4月に女性活躍推進法の対象範囲が、従業員数101人以上の企業まで拡大されました。男女の格差是正に向けて常時301人以上を雇用する企業と国・自治体に男女の賃金の差異開示を義務化した女性活躍推進法の改正もあり、22年7月から施行されます。

 今年のジェンダーギャップ指数のスコアには反映されませんが、これから5年くらいの間に、賃金データの開示効果が見えてきて、正社員の所得格差が縮まっていく可能性は出てきたと思います。

 依然として残る問題は、男女の所得格差の要因である非正規雇用です。「男女共同参画白書 令和3年版」(内閣府)によると、女性の非正規労働者割合は20年に54.4% (男性は22.2%)と、女性の割合が男性よりも多くなっています。

 所得格差は、「総合職」「一般職」といったコース別人事制度にも関係しています。一般職は、昇給・昇進などに処遇上の差があり、また総合職であっても、妊娠や出産といったライフイベントの影響を受けることが少なくありません。これらを是正する必要があります。22年4月には、男性育休の促進を目的に育児・介護休業法が改正されました。家庭内のケアは女性が無償で行うことが当然という考え方をどう変えていくか。ケアそのものに価値があると思えるようになることで、ケア産業の賃金改善につなげていく必要があります。

変化を起こせ 日本が変わるために必要なのは ●男女間の賃金格差の是正 ●10代~30代の幅広い世代の声を取り入れた政治 ●国政だけでなく、地方議会で女性議員の数を増やす ●地域によって大きく異なる教育格差是正の仕組みづくり