冬の乾燥から春の花粉にいたる時期は、肌が過敏になる時期。冬から準備して、春に備えるのが重要です。この時期の肌をトラブルから守り、みずみずしく健やかに保つためのスキンケアのコツを紹介します!

冬~春の○○だけ敏感肌ケア
・冬の乾燥肌~春の花粉荒れを防ぐには、手抜きケアがいい【1】←今回はココ
・マスク肝斑、春の花粉皮膚炎を防ぐ 油膜スキンケア【2】

実は“手抜き”ケアのほうが肌の潤いを守れる!

 冬になると肌がいつも以上に乾燥する。毎シーズン、そう感じている人は多いのでは?

冬はそもそも湿度が低く、また暖房の影響で室内の空気も乾燥しやすい。こうした環境の中で過ごすことで、肌内部の水分が奪われ、カサつきやすくなる」と話すのは、タナベ皮フ科クリニック院長の田邉和美さん。

 肌には、外部からの刺激やアレルギーの原因物質など異物の侵入や、肌内部の水分の蒸散を防ぐ「バリア機能」があり、外気の乾燥はその働きを低下させる要因のひとつ。

「放っておくとますます肌の乾燥が進み、外からの刺激などによって肌荒れなどのトラブルを起こす“敏感”な状態になりやすい」(田邉さん)

 さらに昨今はマスクの着脱もバリア機能低下の一因に。

「皮膚の角層は20~30%程度の水分を含んだ状態が、潤いを保つうえで最適といわれるが、マスクの下では呼気によって肌が蒸れ、角層が膨張しやすくなる。すると角層の配列が乱れ、バリア機能の低下につながる」(田邉さん)

 一方、マスクを外したときは、「肌内部の水分が一気に蒸散し、乾燥しやすい状態に」。

 このまま春先を迎えると、敏感肌のリスクはさらに高まる。

春先は1日の中での温度変化が大きくなりやすい。寒暖差は自律神経のバランスを乱す要因になり、肌のターンオーバー(新陳代謝)の乱れを招き、バリア機能の低下にもつながる」(田邉さん)

バリア機能が低下して乾燥が進み、過敏な状態に
バリア機能が正常な肌
バリア機能が正常な肌
バリア機能が低下した肌
バリア機能が低下した肌
肌のバリア機能をつかさどるのは、肌表面の皮脂膜と角層の細胞同士をつなぐ角質細胞間脂質、天然保湿因子(NMF)の3つの保湿成分。乾燥など外部からの刺激を受けるとそのバランスが崩れ、バリア機能が低下。角層が乱れ、刺激物質なども侵入しやすくなる。かゆみを感じる神経も伸びて、肌は過敏な状態になりやすい

春先の肌状態は冬のケアにかかっている!

 また、春先はスギやヒノキなどの花粉という外敵も。
バリア機能が低下していたり、もともと花粉アレルギーを持っていたりする場合は、花粉が皮膚に接触することで生じる“花粉皮膚炎”に注意が必要」と田邉さんは話す。

花粉などの外部刺激で、ますます肌が荒れやすく
花粉皮膚炎は、目のまわりや頬、あご、首などに生じやすく、かゆみや赤み、ヒリヒリ感などの症状がある。「かゆみがあるためにかいてしまうことでバリア機能がさらに低下し、皮膚の状態が悪化するという悪循環に陥ることも」(田邉さん)。予防や対処法は次回紹介する。
花粉皮膚炎は、目のまわりや頬、あご、首などに生じやすく、かゆみや赤み、ヒリヒリ感などの症状がある。「かゆみがあるためにかいてしまうことでバリア機能がさらに低下し、皮膚の状態が悪化するという悪循環に陥ることも」(田邉さん)。予防や対処法は次回紹介する。

 アレルギー物質の特定は医療機関で行い、抗アレルギー剤による治療などが推奨されるが、今からできる予防法として、バリア機能を高めるスキンケアをぜひ行いたい。

洗い過ぎやこすり過ぎなどはバリア機能を低下させるもと。敏感な肌こそ、ほどよい加減の“手抜き”ケアがお薦め」と、日本化粧品検定協会 代表理事の小西さやかさん。次ページからその方法をチェック!