四十肩・五十肩で腕が上がらない、肩こりが続き、気分もうつうつ……共通の原因は「動きをなくした肩甲骨」!肩甲骨周囲の固まったファシア(結合組織)をゆるめて動きやすくする「肩甲骨ほぐし」が大切です。今回は、まずあなたの「肩甲骨」周囲にあるファシアのカチカチ度レベルをチェックしましょう。

一生使える肩の整え方
・肩こり・四十肩を防ぐ 肩甲骨とファシアの基礎知識【1】←今回はココ
一生使える肩の整え方 レベル別「肩甲骨ほぐし」【2】
うたた寝には注意!肩こりを防ぐ生活習慣と治療法【3】

 肩が体の前側に入り込み、肩甲骨が背中に張りついて埋もれた状態、という人は、肩こりや四十肩・五十肩など“肩まわりの老化”が進行中かもしれない。

Check! 肩先が耳のラインより前で体の真横にない人はご用心!
Check! 肩先が耳のラインより前で体の真横にない人はご用心!
肩先が耳のラインより前側にくる「巻き肩」になっていないだろうか。

 「実は肩甲骨は上半身の軸の要で、上半身の動きをコントロールする司令塔的な役割を担っている。かつて農作業が多かった時代は老化が腰や骨盤に表れていたが、デスクワークが主流の今は肩甲骨と首に問題が集中している」と、東京医科大学医学部医学科准教授の遠藤健司さんは指摘する。

 肩が前に入り込む「巻き肩」は、肩こりや四十肩・五十肩に悩む人に共通する現象だという。「巻き肩になり、首や肩、肩甲骨まわりの筋肉群が緊張し、違和感や鈍痛が起こるのが肩こり。悪い姿勢で肩関節の動かし方が偏り、肩関節周囲の組織に炎症が起こるのが四十肩・五十肩」(遠藤さん)。原因も症状も違う2つの症状だが、共通するのが軸の要、肩甲骨がガチガチに硬くなっていることだ。

ここが肩関節
ここが肩関節
肩甲骨は鎖骨のみに付着する“浮島”状態の骨。巻き肩になり肩甲骨周囲の肩甲挙筋などの深層筋が凝ると、肩甲骨の動きが悪くなる

 さらに、肩甲骨が硬いと、筋肉と脂肪の間にある結合組織「ファシア」にも問題が起こる。「ファシアはコラーゲンと水分からできていて、筋肉や関節を滑りやすくしたり、痛みを伝えたりする働きを担っている。しかし、加齢や悪い姿勢によりファシアは徐々に硬くなり、癒着していく」(遠藤さん)。

肩こりや四十肩・五十肩には、筋肉とファシアが影響する
首や肩、肩甲骨まわりの筋肉群が緊張すると、肩こりにつながるが、慢性的な肩こりには、筋肉と脂肪組織の間に存在する結合組織、ファシアが関わる。悪い姿勢や動かない習慣でファシアが癒着すると肩こりが重症化する
首や肩、肩甲骨まわりの筋肉群が緊張すると、肩こりにつながるが、慢性的な肩こりには、筋肉と脂肪組織の間に存在する結合組織、ファシアが関わる。悪い姿勢や動かない習慣でファシアが癒着すると肩こりが重症化する

【肩こりや四十肩・五十肩が起こるメカニズム】

肩先が体の真横にないと…肩甲骨につく筋肉への負荷がアップ
→ファシアのすべりが悪くなり肩こりに

そのまま動かさないと…さらに凝って、痛みが発生
→肩の位置が悪いまま腕を動かすと、四十肩・五十肩になることも

 ファシアの硬さは、壁に背中をつけて腕を上げる動きでチェックできる。今回はファシアのカチカチ度別に効果的な「肩甲骨ほぐし」を提案するので、まずはチェックを。肩がほぐれれば、若々しい立ち姿が手に入るだけでなく、疲れ目や気分の落ち込みも改善するそうだ。