長期化するマスク生活で圧倒的に増えている顔の悩みが「たるみ」。肌ダメージを避けながらたるみを改善するマッサージの正解が化粧品メーカー各社の最新研究でわかりました! コーセー、資生堂、ロート製薬、各社の最新研究とメソッドを3回にわたって紹介します。毎日続けることで変化を実感する声は多いといいます。今回はロート製薬のリフトテンションメソッドをお伝えしましょう。 

たるみリセットマッサージ
・コーセーが研究 頬の立体感が増す美容筋膜マッサージ
・資生堂が開発 つまみ刺激で顔のたるみにアプローチ
・ロート製薬が発見 わずかなテンションが肌のハリを改善 ←今回はココ

真皮の「張力」で、しぼんだ肌のハリが復活

 顔のたるみの要因のひとつが、皮膚の弾力に関わる真皮の老化。
 「真皮ではコラーゲン線維が綱引きの綱のような役割を担い、肌にハリを与えている。しかし加齢によってコラーゲン線維の分解が進み、線維の量が減少すると、皮膚を引っ張る綱がもろくなり、たるみが生じやすくなると考えられる」と話すのは、皮膚の張力について研究するロート製薬基礎研究開発部の木村駿さん。

皮膚の真皮では線維芽細胞がコラーゲン線維に接着し、綱引きをするように皮膚を横に引っ張り合い、バランスを取っている。これを『張力均衡』といい、皮膚のハリや立体的な形を保つ役割を担っている」(木村さん)。

 天然皮膚の張力均衡を再現した人工皮膚モデルを開発し、「たるんだ人工皮膚では真皮のコラーゲンやエラスチンの産生や、表皮のターンオーバー(新陳代謝)が低下していることを確認した」(木村さん)。

 一方、人工皮膚に張力を加えると、線維芽細胞に存在する“ハリ司令塔”のたんぱく質『MRTF-A』が活性化。「コラーゲンやエラスチンの産生、ターンオーバーがいずれも促進することがわかった」(木村さん)。

 
張力によって人工皮膚のコラーゲン合成とターンオーバーが促進
人工皮膚を用いて、張力均衡の皮膚機能への作用を解析。張力を加えた人工皮膚は、張力のないほうに比べてI型コラーゲンの発現量が約3.5倍増加。コラーゲン分解酵素遺伝子の発現は約3分の1に抑えられた。(データ:Communications Biology;3,637,2020)
人工皮膚を用いて、張力均衡の皮膚機能への作用を解析。張力を加えた人工皮膚は、張力のないほうに比べてI型コラーゲンの発現量が約3.5倍増加。コラーゲン分解酵素遺伝子の発現は約3分の1に抑えられた。(データ:Communications Biology;3,637,2020)
人工皮膚の細胞を蛍光免疫染色法で観察したところ、張力のある人工皮膚は、張力がないほうに比べて表皮のターンオーバーが促進し(画像左)、コラーゲン線維の量が増加する(画像右)ことが確認された。(画像提供/ロート製薬)
人工皮膚の細胞を蛍光免疫染色法で観察したところ、張力のある人工皮膚は、張力がないほうに比べて表皮のターンオーバーが促進し(画像左)、コラーゲン線維の量が増加する(画像右)ことが確認された。(画像提供/ロート製薬)

 ハリ司令塔は、細胞が5%程度引き伸ばされる張力が加わることで活性化するという。
 「頬を軽く引き上げるくらいのマッサージで十分効果があると予想できる」(木村さん)。

 そこで同社が提唱するのが、「リフトテンションメソッド」。

 「クリームをなじませるときに、指の腹で肌にやさしくテンションをかけることでハリが出やすくなる。ほうれい線のできやすい口元やシワのできやすい額はシワに対して垂直に塗るようにするとより効果的」(木村さん)。

 では早速、次のページでロート製薬の“リフトテンションメソッド”を紹介しよう。