伝え方で、損をしていませんか? 脳科学者の中野信子さんによると、私たちには「つい、言い過ぎやすい」「相手の言い過ぎに過敏になりやすい」性質があるといいます。本連載で実施した、これらの性質が原因で起こる「コミュニケーションの悩み」アンケートには、たくさんのリアルな悩みが集まりました。前回に続き、皆さんのアンケートを基に、お笑い芸人のブラックマヨネーズの小杉竜一さん・吉田敬さんと、より良いコミュニケーションの方法について考えます。鼎談(ていだん)第2回は、自分自身がストレスをためず、人間関係も壊さない「言い返し方」を、シーン別に考えます。
その飲み会、「行きたくない」のはいったいなぜ?
中野信子(以下、中野) この連載の1~3回で募集したアンケートでは、予想以上にたくさんの回答をいただきました。
やっぱりコミュニケーションのことで悩んでいらっしゃる方は本当に多くて、皆さん苦労されているんだなということも改めて感じたのですが、全体的に、「相手に分かるように嫌みを言って、スカッとしたい」という人が多かったのが印象的でした。「もめ事は起こしたくないけど、自分の気持ちを大事にしたい。同時に相手との関係も維持したい」と。欲張りなのですが、ぜひお2人に、京都式の上手なコミュニケーション術を教えていただきたいです。
例えばアンケートには、「気が乗らない飲み会をうまく断りたい」などとありましたが、そういうとき、吉田さんはどうされていますか?
吉田敬さん(以下、吉田) コミュニケーションやったら小杉でしょう(笑)。僕はほんまに、コミュニケーションは「なければないでいい」というタイプですから。
行きたくない飲み会なら、「無理です」と3、4回くらい断ったら、相手も「あ、こいつ嫌がってんのやろな」と誘ってこなくなるでしょ。僕はそう思われてもええわと思うんです。でも、小杉はちゃいますよ。「そこまでされるんやったら、行かんでええんちゃう?」というような荒々しい飲み会にも参加してましたからね。
中野 ええ? 荒々しいってどんな飲み会なんですか?
小杉竜一さん(以下、小杉) 酒癖の悪い先輩がいてね。酔うと殴られたりするんですよ(笑)。でも、芸人として、ここは学びたいな、という部分がある人やから行ってました。確かに、しばかれたりすると痛いんですけど、勉強にはなりました。
中野 それはそれ、これはこれと割り切られたのですか?
小杉 おそらく、皆さん、なぜ行きたくないか、その理由がはっきりしてないから悩むんやないですか? 僕は、この人のこの部分は学びたいなという目的があったからイヤやけど行ってました。何となく行きたくないというときは、自分の気持ちをはっきりさせたほうがええと思いますよ。
中野 相手と何をやりとりしたいのか、したくないのか。それは確かに、コミュニケーションの基本かもしれないですね。
小杉 でも、そういう先輩とでも行きたくないときはありました。そういうときは、「ほんまは行きたかった」という空気を前面に出す(笑)。例えば「単独ライブの日と重なって」とか、「それやったらしょうがないな」という理由を用意するんです。そして「どこ行かはるんですか? うわ、ええな~。行きたかったですわ~。また誘ってください」と付け加える(笑)。
吉田 メールとかでの誘いでは、よく「すんません、今、石川県にいるんです」とか返します(笑)。絶対無理やろ、みたいな理由を言う。「嫁さんの実家に来てるんです」とかもええね。
中野 なるほど、それは諦めてくれますね。これから使わせていただきます!
「間違いを指摘するのはどうすればいい?」という質問もたくさんいただきました。相手の言動が間違っている、あるいは不愉快だ、という場合はどうしましょう。
■日時/6月10日(土)16:45~17:25
■場所/渋谷ヒカリエ ヒカリエホール
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※この鼎談を中野さん視点で読み解いた内容を収録しています。