脳の2タイプ、世界ではどう分布?
ちなみに、この2タイプは世界的な分布傾向もある程度分かっており、東アジアは、前者の「誤りだと分かっていてもルールを守る」タイプが全人口の75%程度いて、他の地域よりも多いといわれています。一時期、「日本の働き方っておかしいよ」という議論が欧米を中心とする各国から持ちかけられ、「長時間労働をやめるべき」という風潮になったにもかかわらず、日本企業の多くは長時間労働がやめられない、ということがありました。その背景には、「間違っているかもしれないけど、それまでのやり方に従う」という前者的な思考があったのかもしれません。
一方で、ヨーロッパはどうかというと、割合が逆転します。後者の「自分のルールでやる」タイプが約6割。このような視点で考えると、世界史で学習したような戦争や革命が、フランスやドイツで何度も起きてきた理由が分かる気がします。
環境に合わせて戦略を変える
ただし、ここで言いたいのは、どちらのタイプがいいとか悪いとか、そういうことではありません。どちらにも一長一短、メリットとデメリット、強みと弱みがあります。
私たちに求められているのは、自分がどちらのタイプなのかを知った上で、環境に合わせて戦略を変えていくことです。
「間違っていると分かっていても指示されたルールに従う人」は、ついため込みやすい自分の本心をうまく言葉にする方法を身に付けると、きっと毎日がもっと楽になると思います。アンケートでは、「言い過ぎた」「ひどいことを言われた!」という体験談だけではなく、「本当は言いたかったのに、うまく言葉にできなくて伝えられなかった思い」も募集しています。ぜひ、あなたの体験談をお寄せください。
また、「自分が正しいなら、自分のルールでやろうとする人」は、「つい、言い過ぎてしまいそうな」シチュエーションになったときに自分に上手にブレーキをかけられるようになると、言いたいことをきちんと伝えながらも「言い過ぎた!」とあとで後悔することは減っていくのではないでしょうか。どういうふうに伝えたら、もっとよい関係性を築くことができたのか。ぜひ、一緒に考えていきましょう。
両者がそれぞれの良さを生かしながらお互いを思いやることができたら、誰しもがより良い関係性を築いていけると思っています。
ぜひ、皆さんの体験談をお聞かせください。
【体験談募集】「ものの言い方・伝え方」に関するアンケートに回答する文/幸田華子(第1編集部) イラスト/shutterstock
[日経BOOKプラス 2022年12月5日付の記事を転載]