パートナーを呼ぶには3つの場面が想定される

―― 結婚観や価値観が多様化し、パートナーの呼び方に選択肢が生まれている中で、どんなことに気を付けたらいいでしょうか。

中村 呼び方に迷うことも多いかもしれませんが、大事なのはパートナーと会話の相手への敬意を忘れないことです。

 ただ、一言で「パートナーの呼び方」といっても、主に3つの場面が想定されると思うので、整理してみましょう。

 まず1つ目は「お互いを呼び合うとき」。

 こちらは時代とともに変遷してきました。戦前の家父長制では名前も呼ばずに「おーい」ということもありましたが、昭和では演歌の歌詞にあるような「おれ」と「おまえ」、「わたし」と「あなた」などといった呼び方でした。現代はアンケートで多数派だった「ニックネーム」、「ママ」と「パパ」、いずれ孫が生まれたら「ばば」と「じじ」といった呼び方も含まれるでしょう。ここはある意味、パートナー間で納得していればいいので、それほど大きな問題は起きないと思います。

 ただ、「ママ」と呼ばれると「女性として見てくれない」「私は夫のママではない」とパートナーが感じているケースもあるので、お互いどう思っているかの確認や、どう呼んでほしいかのコミュニケーションは必要です。

 2つ目は、「他人に話すとき」。

 自分の友人や知り合い、親戚付き合いなどで何と呼ぶかです。気心の知れた友人なら「○○くん」「○○ちゃん」、「うちのママ」「うちのパパ」など、ざっくばらんな呼び方ができますね。

 他人や親戚には「妻」や「夫」、「家内」や「主人」、「うちの○○は」と名字の呼び捨て、「○○さん」と名前にさん付けなど、いろいろなパターンが考えられます。ここでは自分で時と場合に応じて使い分けていきましょう。

仕事上、「奥様」「ご主人様」を使わざるを得ない場合も
仕事上、「奥様」「ご主人様」を使わざるを得ない場合も

 難しいのは、3つ目の「他人のパートナーを呼ぶとき」。

 先ほど説明したように、使い方によっては自分の結婚観や価値観が分かってしまいます。アンケートでは「奥さん」「旦那さん」「ご主人」が多かったようですが、「奥様」や「ご主人様」に違和感があっても、ほかの適当な言葉がないということも考えられます。

 例えばホテルやデパートなどでは、「高級感があり、格調高い言葉」として、「奥様」や「ご主人様」が使われていて、現時点ではそれに代わる言葉がありません。その場所で働く人は「仕事のプロ」として、使わざるを得ない場合もあります。

 ただ、最近は航空会社やテーマパークで「レディース&ジェントルメン」のアナウンスをやめるなど、呼び方に関してはさまざまな動きが出てきていますので、これからは変わっていくでしょう。

 「お連れ合い」「パートナー」という言葉もありますし、面白いのは最近、「丁寧だけれども必要以上に格調の高くない言葉」として「妻さん」「夫さん」が出てきたこと。人々が工夫していることの表れだと思います。