世界経済フォーラム(WEF)のジェンダーギャップ指数ランキング(2022年)で日本の順位は146カ国中116位でした。なかでも経済分野のスコアは0.564と低く、WEFのリポートでも「日本のパフォーマンスは後退しており、2016年の水準に戻ったようだ」と厳しく指摘されています。性別などの属性によらず働きやすい社会をつくるためには、経済分野のどこに、どのような格差が潜んでいるのか、私たち自身が気づかなくてはなりません。

そこで日経xwomanでは、世界経済フォーラムの手法にならって、経済分野に特化した業界別のジェンダーギャップ課題を分析しました。自分が働く業界や、働きたいと思っている業界の特徴や課題を知ることで、より働きやすい社会を実現するためのヒントにしてもらえればと思います。

業界別ジェンダーギャップ分析に使用した4つの指標

 世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数ランキング」では、「経済」のスコアを出すために、「労働参加の男女差」「賃金の男女差」「推定所得の男女差」「管理職比率の男女差」「専門職比率の男女差」という5つの指標を採用しています。

 今回、日経xwomanでは、経済分野に特化した業界別のジェンダーギャップ課題を分析するにあたり、以下の4つの指標を設定しました。さらに、それぞれの指標を構成するサブインデックスを設け、複数の統計データを用いて男女差を算出しました。指標とデータソース選定の監修は、経済学者で明治大学 政治経済学部 准教授の原ひろみさんが行いました。

 例えば、「A:労働参加の平等性」という指標の算出にあたっては、「正規雇用の男女比」「フルタイム勤務者(一般労働者)の平均勤続年数の男女差」「専門職比率の男女差」を示す3種類の統計データを使用。世界経済フォーラムの手法に準拠し、各データにおいて基本的に男性の数値を分母、女性の数値を分子(女性/男性)として男女比を算出。さらにそれらの男女比を加重平均(個の重みを考慮して平均値を求める方法)して、各指標のスコアを算出しました。

「業界別ジェンダーギャップ」4つの指標とサブインデックス
指標A:労働参加の平等性
1.正規雇用の男女比
2.フルタイム勤務者(一般労働者)の平均勤続年数の男女差
3.専門職比率の男女差(専門職/就労者数の男女比)

指標B:管理職登用の平等性
1.課長職の男女比
2.部長職の男女比
3.役員の男女比

指標C:賃金の平等性
1.正規雇用における賃金格差
2.非正規雇用における賃金格差
3.課長職における賃金格差
4.部長職における賃金格差

指標D ワークライフバランスの平等性
1.有給休暇取得率の男女比
2.育児休業取得率の男女比
3.平日の家事・育児時間の平均値の男女比
4.テレワーク経験者の男女比

(使用したデータソースについては記事末尾に記載)

 ワークライフバランスという指標を入れたのは、男女ともに家事育児を担っているかどうかを見るため。「男は仕事、女は家事育児」という意識が強く残り、男性の長時間労働を前提に成り立つ業界や組織では、女性がキャリアを形成していくことは難しいからです。なお、有休取得率、育休取得率、平日の家事・育児時間は、一般的に女性の数値のほうが大きくなるため、女性を分母にして男女比を算出しました。

 対象とする業界は、総務省統計局の「日本標準産業分類」の「大分類」で定義されている業界のうち、統計データがそろう以下の13業界としました。

調査した13業界と代表的な職業
●建設業…土木、建築、大工・左官などの職別工事業、設備工事業など
●製造業…食料品、繊維、木材、紙、化学、プラスチック製品、金属、電機、輸送用機器など
●電気・ガス・熱供給・水道業
●情報通信業…通信、マスコミ、ゲーム、インターネットなど
●運輸・郵便業…鉄道、旅客、貨物、航空、倉庫など
●卸売・小売業…繊維・衣服、飲食料品、建築材業などの卸売業、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、書店、ガソリンスタンドなど
●金融・保険業…銀行、信用金庫、貸金業、クレジットカード、保険など
●不動産・物品賃貸業…不動産取引、不動産賃貸・管理、各種リースなど
●学術研究・専門・技術サービス業…経営コンサルティング、広告、設計、法律・行政書士などの事務所、獣医、自然科学研究所など
●宿泊・飲食サービス業…宿泊業、飲食店、持ち帰り・配達飲食サービスなど
●生活関連サービス・娯楽業…旅行、冠婚葬祭、映画館、スポーツ施設、洗濯・理容・美容業など
●教育・学習支援業…学校教育、学習塾、図書館、スクール講師など
●医療・福祉…病院、保健所、保育所、老人福祉・介護など

 次のページで、業界別の分析結果を、平均スコアが高かった順にランキング形式で紹介します。