日経xwomanでは、世界経済フォーラム(WEF)の指標を参考に、経済分野における業界別のジェンダーギャップ課題を分析。「労働参加の平等性」「管理職登用の平等性」「賃金の平等性」「ワークライフバランスの平等性」という4つの指標ごとに、複数の統計データを用いてスコアリングしました。今回の記事では、スコアが高かった4業界を取り上げ、その特徴と課題を分析します。

本記事で紹介する業界
【医療・福祉】…病院、保健所、保育所、老人福祉・介護など…1ページ目
【教育・学習支援業】…学校教育、学習塾、図書館、スクール講師など…2ページ目
【宿泊・飲食サービス業】…宿泊業、飲食店、持ち帰り・配達飲食サービスなど…3ページ目
【生活関連サービス・娯楽業】…旅行、冠婚葬祭、映画館、スポーツ施設、洗濯・理容・美容業など…4ページ目

■スコアの算出方法やデータソースは記事1本目「ジェンダーギャップ大きい業界は? 独自試算で明らかに」を参照してください。記事中の育休取得率はスコア算出時に公表されていた2020年度雇用均等基本調査による数値です。

女性の管理職比率が13業界中最も高い

医療・福祉 病院、保健所、保育所、老人福祉・介護など

注)男女差がない状態を1とし、スコアが0に近いほど男女差が大きいことを示す。上図では、ひし形が外側に広がるほど平等を示す1に近づき、内側に近いほど0に近づく。薄い緑色のグラフは13業界の平均値
注)男女差がない状態を1とし、スコアが0に近いほど男女差が大きいことを示す。上図では、ひし形が外側に広がるほど平等を示す1に近づき、内側に近いほど0に近づく。薄い緑色のグラフは13業界の平均値
 注)各項目の男女比は統計データを基に、男性を分母、女性を分子(女性/男性)として計算。女性の数値が男性を上回る場合は平等とみなして男女比を1としている。ただし有休取得率、育休取得率、平日の家事・育児時間の平均値については、女性を分母、男性を分子(男性/女性)として計算。各指標のスコアは加重平均で算出しており、男女比の単純平均とは異なる。賃金=年間の平均賃金を指す
注)各項目の男女比は統計データを基に、男性を分母、女性を分子(女性/男性)として計算。女性の数値が男性を上回る場合は平等とみなして男女比を1としている。ただし有休取得率、育休取得率、平日の家事・育児時間の平均値については、女性を分母、男性を分子(男性/女性)として計算。各指標のスコアは加重平均で算出しており、男女比の単純平均とは異なる。賃金=年間の平均賃金を指す

 「労働参加の平等性」のスコアが0.952と高いのが特徴。正規雇用で働く女性の数は男性の約2.5倍。フルタイム勤務者の平均勤続年数は男性9.4年、女性8.9年と、やや短いものの男女差は小さい状況です。専門職の比率においても男女差が小さく、男女ともに就労者の約5割が専門職として働いています。なお、「医療・福祉」業界の中でも保育や介護などを扱う「社会保険・社会福祉・介護事業」の分野では、正規雇用の女性(163万人)よりもさらに多くの非正規雇用の女性(176万人)が働いています。

 女性の多さを反映してか、「管理職登用の平等性」も13業界の中でトップ。中でも課長職における男女の比率はほぼ同じ。女性の役員数は男性の役員数の84.8%に達しています。一方、部長職になると、女性の数は男性に対して59.5%にとどまり、他業界に比べれば高い水準であるものの、「医療・福祉」業界で働く正規雇用の女性が男性の約2.5倍いることを考えれば、改善の余地があるといえるでしょう。

 「賃金の平等性」のスコアは0.771と、13業界の中では下から4番目。中でも部長職における賃金格差が13業界中で最も大きく、女性の部長職の平均賃金(年間)は男性の66.7%にとどまっています

 「ワークライフバランスの平等性」も課題です。男性育休取得率は12.4%と、女性の89.4%に比べて大きな差があります。男性の平日の家事・育児時間は平均81.1分で、13業界の中では最も長いものの、女性の平均175.1分に比べれば半分にも満たない長さです。

 なお今回は統計データの都合上、「医療・福祉」という大きなカテゴリーで全体の傾向を調べましたが、実際は職種によって実情が異なる点に注意が必要です。例えば保育士は95.8%が女性(*1)ですが、医師は77.2%が男性(*2)。また女性同士でも、平均賃金は「医療業」分野が444.2万円に対し、「社会保険・社会福祉・介護事業」分野では364.9万円と、差があります(一般労働者で比較)。

*1.福祉医療機構「平成30年度『保育人材』に関するアンケート調査結果」(2019年1月)
*2.厚生労働省「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」