日経xwomanでは、世界経済フォーラムの指標を参考に、経済分野における業界別のジェンダーギャップ課題を分析。「労働参加の平等性」「管理職登用の平等性」「賃金の平等性」「ワークライフバランスの平等性」という4つの指標で評価し、スコア(4指標の平均値)が高い順に並べました。今回の記事では、スコアの高さが9~13番目の業界を取り上げ、その特徴と課題を分析します。
本記事で紹介する業界
【卸売・小売業】…繊維・衣服、飲食料品、建築材業などの卸売業、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、書店、ガソリンスタンドなど…1ページ目
【学術研究・専門・技術サービス業】…経営コンサルティング、広告、設計、法律・行政書士などの事務所、獣医、自然科学研究所など…2ページ目
【製造業】…食料品、繊維、木材、紙、化学、プラスチック製品、金属、電機、輸送用機器など…3ページ目
【建設業】…土木、建築、大工・左官などの職別工事業、設備工事業など…4ページ目
【電気・ガス・熱供給・水道業】…5ページ目
■スコアの算出方法やデータソースは記事1本目「ジェンダーギャップ大きい業界は? 独自試算で明らかに」を参照してください。記事中の育休取得率はスコア算出時に公表されていた2020年度雇用均等基本調査による数値です。
ワークライフバランスの男女差が課題
卸売・小売業 繊維・衣服、飲食料品、建築材業などの卸売業、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、書店、ガソリンスタンドなど


「労働参加の平等性」のスコアは0.727と、13業界中上から5番目。正規雇用者の数を見ると、女性は男性の約半数です。平均勤続年数は男性14.6年、女性10.3年とやや男女差が大きい状況。就労者に占める専門職の比率は男女ともに3%台でした。なお、小売の分野では、女性は正規雇用よりも非正規雇用として働く人の数のほうが多く、特に「飲食料品小売業」の分野では、女性の正規雇用22万人に対して女性の非正規雇用が152万人と大幅に上回っています。
「管理職登用の平等性」のスコアは0.138で、こちらも上から5番目。役員の女性数は男性の役員数に対して28.9%ですが、課長職の女性の数は男性の10.8%、部長職では4.8%と低迷しています。
「賃金の平等性」のスコアは0.780。正規雇用・非正規雇用ともに、女性の平均賃金(年間)は男性の7割強にとどまります。課長職では男女格差がやや縮まり、女性の賃金は男性の87.2%となるものの、部長職では76.5%に後退。また非正規雇用の女性の年間賃金は平均237.9万円で、13業界中下から3番目です。卸売よりも小売のほうがより賃金が低い傾向にあり、同じフルタイム勤務(一般労働者)でも、卸売の女性の賃金が410.5万円なのに対し、小売は308.3万円でした。
「ワークライフバランスの平等性」のスコアは0.464で、13業界のなかで最も低い結果でした。有休取得率は女性55.3%に対して男性45.4%と差が大きく、取得率自体も低い状況。育休取得率も女性77.5%、男性9%と、男女差が大きく取得率自体も低迷しています。男性の平日の家事・育児時間は平均65.7分で、13業界中下から2番目の短さ。テレワーク経験者率は男性では29.8%ですが、女性は13.7%で、ここでも差が見られました。