商品・サービス、そして自分自身を社会で差別化するためには、ブランディングが欠かせません。21年間ブランドを育て続けたアイドルグループ「嵐」に学ぶ「愛されるブランドづくり」を、外資系企業などで豊富な消費者マーケティング経験を持つ射場 瞬さんが語ります。
「みんなに愛されなくていい」ファンが喜ぶ価値を磨く
1999年に結成し2020年に活動休止したものの、今も長く愛され続けている、嵐。彼らが私たちに教えてくれるのは「すべての人から愛される必要はないんだよ」という、ブランディングの大切なポイントです。
ブランドを、誰かの心や頭の中につくられるものと定義してみます。では、誰の頭の中にブランドをつくり、育てるか。「誰」を決め、その人たちへの理解が深まれば、やるべきことは見えてきます。
嵐は国民的アイドルと呼ばれていましたが、嵐を大好きで信頼してくれる嵐ファン、特にファンクラブの会員の頭の中に「嵐ブランド」をつくろうと、努力していたように思います。加えて、ファンを「6人目の嵐」と呼び、メンバー5人だけのものではなく、ファンと一緒になってブランドを育て、ファンは嵐というグループへの愛を深めていったのではないでしょうか。
コアな顧客を巻き込んだブランディングを実践している、ナイキやアップルなどのファンに愛されるブランド戦略も、基本は同じです。応援してくれる人たちに喜ばれる価値を育て、一緒にブランドを進化させていく――商品やサービス、自分自身のブランディングにも有効な考え方です。ぜひ取り入れてみてください。