体作りのプロであるアスリートが好んで食べると注目の食材がバナナとサツマイモ。実はこの2つ、ただエネルギー補給として優れているだけでなく、“腸活食材”として優れていることがわかってきました。新たにわかってきたバナナの腸活機能と効果的な食べ方を紹介した第1回「脂肪、便秘、下腹に効く! 『バナナ』の腸活機能と効果的な食べ方」に続き、第2回となる今回は、今、アスリートが好んで食べるサツマイモの機能について紹介していきます。

2大腸活食材 バナナvs.サツマイモ
【1】脂肪、便秘、美肌にいいバナナ、効果を引き出す食べ方は 
【2】アスリートも注目のサツマイモ 腸活にはじっくり加熱を←今回はココ

食物繊維だけじゃない!サツマイモの腸活成分

 アスリートやボディビルダーに人気急増中な食材がサツマイモだ。サツマイモというと、甘く、太りやすい食材として、以前はダイエット時に敬遠されがちな食材だった。だが、実は米と比べてカロリーが低く、糖質以外にも、食物繊維やカルシウムなどのミネラル、ビタミンCを豊富に含むなど、穀類と野菜の両方の魅力を併せ持つ。「食物繊維など腸内有用菌のエサになるものが豊富な上、食物繊維とでんぷんが複雑に絡み合った構造をしているため、糖質量は多いのに、消化吸収がゆるやか」と大妻女子大学家政学部の青江誠一郎教授。近年、“エネルギー源になるが太りにくい糖質食材”として見直されているという。詳しく紹介していこう。

食物繊維とでんぷんが有用菌のエサになる

 サツマイモの腸活パワーのカギとして注目されるのが、大腸まで届いて腸内有用菌に発酵されてエサとなる発酵性食物繊維や難消化性でんぷんなど。これらに消化・吸収を邪魔されて大腸まで運ばれてしまった糖質も、腸内細菌のエサになる

 腸内細菌が食物繊維や糖をエサにすることを発酵というが、この発酵により、腸の中では酸酢や酪酸などの短鎖脂肪酸が増える。これらの酸が腸管内を酸性にすると、有害菌は生息しにくくなると青江教授。

 また、「短鎖脂肪酸は、腸のエネルギー源となって腸のバリア機能を高めたり、腸の働きを良くする。短鎖脂肪酸が体内に吸収されて全身をめぐると、脂肪蓄積を抑えたり、満腹感を高めるホルモンを出して“やせ体質”を作ることもわかってきた」と青江教授。

 発酵性食物繊維が多いと、ダイエット効果の継続にも役に立つようだ。「発酵は4~5時間後に始まるため、次の食事時でも血糖値が上がりにくくなることがわかっている」(青江教授)。

サツマイモ摂取で酪酸産生菌が増加
サツマイモ摂取で酪酸産生菌が増加
健康な女子大学生22人に、加熱後に皮をむいたサツマイモ(紅天使)を、1週間ごとに300g摂取期、休止期、100g摂取期に分けて普段の食事に足して摂取してもらい、糞便検査で腸内細菌叢の構成を調べた。結果、摂取前に比べ、サツマイモ摂取期で酪酸菌のフィーカリバクテリウム属を含む菌群が有意に増えていた。(データ:日本栄養・食糧学会誌;69,5,229‒235,2016)