社会は一極集中から地方分散…ではなく多極集中へ

 日本の人口推移をグラフにすると、急勾配の山のような形になります。

1850年から2100年の人口推移グラフ。1850年0.3億人、1900年0.43億人、1950年0.84億人、2000年1.27億人、2008年1.28億人、2050年1.02億人、2100年0.75億人
明治維新以降、日本の人口は急激に増加。2008年にピークの1.28億人となり、11年に完全な人口減少社会に入った。50年に1.02億人、2100年に0.75億人と、今後も急速に減少する見込み(国立社会保障・人口問題研究所「主要国の人口および人口増加率」、総務省統計局「世界の統計2021」を基に編集部作成)

 人口の増減を山登りに見立ててみると、登りの時代は「集団で一本の山道を突き進む」世の中でした。常識やルールに多様性は考慮されず、一本の道に画一化され、国民が一丸となって高度成長期を駆け上がっていきました。

 2008年ごろ、いわば山頂へ達した人々は、頂から360度に広がる景色を見渡し、道が一本ではないことを知りました。そして11年ごろから山道を下り始めると、人々は1つの価値観にとらわれない、多様な生き方を選択するようになりました。

 私たちはまだ、下り道の途中です。これからますます、多様で自由な生き方ができるようになるでしょう。

 生き方の多様化に合わせ、これまで首都圏に「一極集中」していた社会は「多極集中」になっていくと、私は予測しています。「多極集中」とは、人が幅広い地域(多極)に分散していきつつ、それぞれの地域には核となる場所(人が集まる拠点)が存在するということです。「一極集中」の反対の意味としては「地方分散」という言葉が一般的ですが、人口減少社会で地方分散してしまうと、人口密度が低すぎて、それぞれが過疎化してしまいます。

 人口減少社会においては、人口増加の時代の「一極集中」ならではの「進んでいる地域」「遅れている地域」といった時間軸的な概念は弱くなり、人々の関心は各地域の固有の価値や文化に向かい、空間軸が中心の考え方になっていくでしょう。

 事実、ここ10年くらいのゼミの学生など若い世代の傾向として、「将来は生まれ育った街を世界一にする」「留学して改めて、日本が抱える地域の問題解決に取り組みたくなった」など、ローカルへの関心が高いことがうかがえます。