僕たちで「就活」のニューノーマルをつくりたい

 「社会課題」を軸に就活をするも、何を基準に企業を選べばよいか悩んだ。周りの友人たちを見ると、学生時代はビジョンを持って社会課題に取り組んでいたのに、就活の段階でやる気や情熱をなくしているように見える人が多かった。

 「今までパッションを持って活動してきたことを諦めるという状況はおかしい。今の就活のあり方が日本の生産性を下げる一大要因なのではないか」と、そのとき自分が行っていた就活のやり方自体に違和感を覚えた。従来の就活は、業種や職種を基準に情報を集め、就職先を選ぶことが多いため、社会課題軸での仕事選びが難しい。勝見さんはそれが課題だと感じた。

 「僕たちで就活のニューノーマルをつくりたい」。そう思い、学生が社会課題を軸に就活できるプラットフォームを開設するに至った。プラットフォーム名は、エシカル意識のもとに展開する就活という意味を込めて「エシカル就活」とした。

 「『エシカル就活』は、外圧と内圧の2つの圧力で、企業を変革しようとするものです。外圧とは、産業界に対する『サステナビリティ経営にシフトしなくては淘汰される』という社会的プレッシャー。内圧とは、社会課題解決とビジネスを両立させられる優秀な人材を企業とマッチングさせ、組織内部から変革を推し進めようとするプレッシャーを指します」(勝見さん)

Allesgood代表の勝見仁泰さん。「就職活動を辞めて『エシカル就活』を立ち上げたのは僕がやらないと誰もやらないなと思ったのがきっかけ。自分がそういう世界観をつくりたいと思った」(写真/本人提供)
Allesgood代表の勝見仁泰さん。「就職活動を辞めて『エシカル就活』を立ち上げたのは僕がやらないと誰もやらないなと思ったのがきっかけ。自分がそういう世界観をつくりたいと思った」(写真/本人提供)

大切な人に紹介したいと思える企業のみ掲載

 「エシカル就活」のプラットフォームに掲載する企業の審査にも力を入れている。より包括的で持続可能な経済をつくるために考案された「良い企業」を審査する認証システムB Corp(ビーコープ:Benefit Corporation)を基に審査を行う。

※ 米国の非営利団体B Lab (2006年設立)が営利企業に対して認証

 このプラットフォームへの掲載を希望する企業は、サステナビリティリポートや企業IR情報を提供する必要がある。Allesgoodは、その情報に基づき、会社の掲げるビジョンなども聞きながら、企業の経営者や担当者と対話を重ねる。「エシカル就活」アドバイザーによる第三者機関の審査を入れ、プラットフォームの信頼度を高めている。

 勝見さんは、「Progress Over Perfection」という言葉を大切にしている。それは、完璧を求めて躊躇(ちゅうちょ)するのではなく、変化し続けようという考え方。そのため、企業の現状で判断するのではなく、「これからどうしていきたいのか」と変わる意思や行動力を持っているかどうかに注目している。

 「自分にとって大切な人に紹介できるような企業しか載せません」。つまり、Allesgoodが目指すビジョンに賛同し、本気で変わる姿勢を持つ企業がプラットフォームに掲載されている。

 下編では、「エシカル就活」に登録する企業と学生に、新しい就活スタイルについて話を聞いた。

【エシカル就活】
上・型にはまる就活に違和感「エシカル就活」開設への思い ←今回はココ
下・Z世代 「社会課題を軸に仕事選び」を当たり前な社会に

取材・文/福井麻乃(日経xwoman)