社会課題軸の就活サービスの存在は大きい

 「エシカル就活」に就活生として登録する、国際基督教大学4年の佐伯栞さんは、大学の授業をきっかけに社会課題に関心を持ち始めたという。「(全学生が学ぶ)一般教育科目でも幅広い社会課題が扱われています。また、大学がリベラル・アーツを推進しているので、普段からいろいろな分野を専攻する学生との交流が多く、自然と社会課題に興味を持つ機会があります」と佐伯さん。

 「大学で学ぶまでは、環境問題は、どこか自分とは遠い存在に感じていましたが、実は身近なものだと知りました。そして、社会課題の解決につながる職場で働きたいと思うようになりました」と佐伯さん。興味を持ち始めてからは、普段の行動からエシカルな消費を意識するようになったという。

国際基督教大学4年の佐伯栞さん。2021年3月に、大学が実施する「コミュニティ・サービス・ラーニング」というプログラムを通して、ゴミのない社会を目指す、全国初の「ゼロ・ウェイスト宣言」をした徳島県上勝町で1カ月間のインターンシップに参加。滞在最後の週に上勝町の自然を楽しもうと滝まで行ったときの写真。「ゼロ・ウェイストに取り組んで、プラスチックごみも洗って出したり、量り売りのお店で買い物をしたり……。町全体で意識していることの素晴らしさを実感しました」(写真/佐伯さん提供)
国際基督教大学4年の佐伯栞さん。2021年3月に、大学が実施する「コミュニティ・サービス・ラーニング」というプログラムを通して、ゴミのない社会を目指す、全国初の「ゼロ・ウェイスト宣言」をした徳島県上勝町で1カ月間のインターンシップに参加。滞在最後の週に上勝町の自然を楽しもうと滝まで行ったときの写真。「ゼロ・ウェイストに取り組んで、プラスチックごみも洗って出したり、量り売りのお店で買い物をしたり……。町全体で意識していることの素晴らしさを実感しました」(写真/佐伯さん提供)

 もう1人、エシカル就活を経験した学生に話を聞いた。Allesgoodが開催するイベントに参加した立命館大学4年の一瀬優菜さんは、エシカル就活をしてみて苦労したと言う。ネット上で「社会貢献 企業」「ソーシャルビジネス 企業」と検索しても、求めている情報がヒットしなかった。社会課題解決型の企業が集まる合同説明会に参加したり、所属大学にかかわらずOB・OG訪問できるサービス「Matcher(マッチャー)」を駆使したりして、「質より量」という形でエントリーする企業の情報を探索したという。

 社会問題に取り組んでいる企業の情報に行き着いた後にも、その企業の本気度を見極めるために、創業者の本などを読んだ。「創業者の思いやマインド、世界観をチェックしました」

 「エシカル就活に必要な情報を一から自力で探すのは大変です。社会課題に取り組む企業と就活生がマッチングできるプラットフォームの存在は重要だと思います」と一瀬さん。

立命館大学4年の一瀬優菜さん。2020年9月に日本のサステナビリティを学ぶため、岡山県西粟倉村で行われたワークショップに参加。そこでトレッキングした時の写真。「山では、普段の生活では感じることができない生命力を感じました。樹木や微生物、空気を含めたすべてが共存し、共生しあっていることを肌で体験することができました」(写真/一瀬さん提供)
立命館大学4年の一瀬優菜さん。2020年9月に日本のサステナビリティを学ぶため、岡山県西粟倉村で行われたワークショップに参加。そこでトレッキングした時の写真。「山では、普段の生活では感じることができない生命力を感じました。樹木や微生物、空気を含めたすべてが共存し、共生しあっていることを肌で体験することができました」(写真/一瀬さん提供)