「エシカル就活」という新しい就活スタイルが生まれている。社会課題に高い関心を抱く「ミレニアル世代・Z世代」の若者と、社会課題に取り組む企業との間で繰り広げられる就職活動のことだ。社会課題に取り組む企業と学生がつながるSNS型の就活プラットフォームが同名の「エシカル就活ーETHICAL SHUKATSUー」(以後、「エシカル就活」)として登場した。現在、約1000人の学生がこのプラットフォームに登録している(7月16日時点)。この就活様式は加速するのだろうか、賛同する企業や学生は増えていくのだろうか。「エシカル就活」に登録する企業と学生に話を聞いた。
【エシカル就活】
上・型にはまる就活に違和感「エシカル就活」開設への思い
下・Z世代 「社会課題を軸に仕事選び」を当たり前の社会に ←今回はココ
Z世代のエシカルに対する高い意識はSNSから
Z世代を中心に、エシカルやサステナブルというキーワードへの関心が高まっているのは、「デジタル」の力も大きい。「SNSなどのおかげで横のつながりをつくりやすくなり、仲間を集めるのも容易になっている。その結果、アクションを起こす際の心のハードルが下がることが、若者の意識を高めている要因になっています」と、SNS型就活プラットフォーム「エシカル就活」をつくったAllesgood(アレスグッド、東京都杉並区)代表の勝見仁泰さんは言う。
SNS上で誰かの発言を見て、「意識が高いな」と一歩引く人もいれば、「自分も何か行動したい」と共感する人もいる。後者の数が増えていると感じている。
プラットフォーム「エシカル就活」に登録しているデジタルマーケティング支援企業、メンバーズ(東京都中央区)採用マネジャーの内橋洋美さんは、社会貢献を軸に就職活動をする学生の増加について、「社会を変革しようとする仲間が増えている」と喜ぶ。
エシカルの中でも特に「気候変動」「人口減少」「地方創生」の3分野に関心を寄せる学生が多くなっているという。「メンバーズがそれらの分野を『VISION2030』に掲げているからかもしれません。『大学1~2年生のころから、このテーマに興味がありました』と話す学生は、2022年採用で大きく増えました」と内橋さん。また、ジェンダーに関心を持つ女子学生が、2020年のサマーインターンシップから増えている。
同じくメンバーズの採用担当である菅沼駿祐さんは「ここ数年の学生は、仕事を通して、自分がどのような価値を社会に対してつくっていきたいかを考えながら仕事を探すことが当たり前になっていると感じます」と言う。「今では、SNS上で、課題意識を表明することが日常になってきていて、これが社会課題に高い関心を持つことにつながっているのではないでしょうか」
自らもZ世代である菅沼さんは、気候変動マーチやBlack Lives Matterのムーブメントが「エシカル」や「サステナブル」といった言葉の浸透に大きな影響を与えたという実感があると語る。