二酸化炭素排出では世界第2位のアメリカ、とりわけ地下資源に乏しいハワイ州はエネルギー面で石油に依存しています。そんななか、ハワイ州は全米で初めて、「再生可能エネルギー発電100%」の実現を宣言しました。脱炭素化へ向けて、独自の取り組みを進めています。ハワイ州はどんな取り組みをしているのでしょうか。なぜ脱炭素化を急ぐのでしょうか。脱炭素で先行するハワイ州の事情について、クリーンエネルギー研究所代表の阪口幸雄さんは「島々や産業が抱えている課題が絡んでいる」と語ります。

脱炭素化で全米の先頭を走るハワイ州のエネルギー事情

 米国は、世界第2位の二酸化炭素排出国です(第1位は中国。日本は第6位)。現在、多くの州が脱炭素化へ向けて取り組んでいますが、とりわけ早く動き出し、全米でもっとも早く再生可能エネルギー発電100%を宣言したのは、ハワイ州です。「2045年までに再生可能エネルギー発電の割合を100%にする」という州法を2015年に可決し、エネルギー政策においては、全米で先頭を走っています。

 米国は地下資源が豊富で、エネルギー自給率が100%の州もあります。一方のハワイ州は、地下資源は0%に等しく、産業や住民の生活は、タンカーで輸入した石油に頼っています。

 州内で消費される総エネルギーにおける石油依存率は84%。発電分野における石油依存率は63%で、いずれも全米でワーストです。

 オアフ島・ホノルルのホテルやショッピングモールへ行くと、上着を羽織りたくなるほどの冷房が、これでもかといわんばかりに効いています。これにも、輸入した石油エネルギーが使われています。もちろん、店側はおもてなしの気持ちから、冷房を効かせているのですが、道路に漏れ出る冷気は、石油をばら撒いているのと同じです。

オアフ島・ホノルルのホテルやショッピングモールの冷房に使う電力にも輸入した石油エネルギーが使われている(写真/PIXTA)
オアフ島・ホノルルのホテルやショッピングモールの冷房に使う電力にも輸入した石油エネルギーが使われている(写真/PIXTA)

 観光地は、いつ、どこへ行っても冷房が効いている一方で、一般の住宅で冷房を使う時間は、さほど長くありません。一年を通じて暖かい気候のハワイ州も、夕方から翌朝にかけては海からの爽やかな風が吹くため、冷房を使わなくても過ごせます。また、太陽光パネルを屋根などに設置して自家発電する家が、オアフ島では30%ほどあります。

 一般住宅の電化率はほぼ100%。都市ガスや石油等の化石燃料は使われていません。住宅の1人当たりのエネルギー消費量は、全米で一番少ないです(全米平均64.1 MBTU/人に対し、ハワイは半分以下の24.4 MBTU/人 。MBTUは熱量の単位)。

 では、ハワイ州でもっとも多く温暖化ガスを排出する部門は何か。そこには、ハワイ州ならではの産業が絡んでいます。