温暖化ガス排出削減のため、個人ができることは
2020年12月に発表された日本の19年度の温暖化ガス排出量(速報値)は、総排出量が12億1300万トン。前年度比2.7%減、13年度比では14.0%減と、6年連続で減少しました。電力の低炭素化による二酸化炭素排出量の減少などが、要因とされています。しかし、30年までに、さらに32%の温暖化ガスの削減が必要です。日本の温暖化ガスの排出削減目標である「30年までに13年度と比べて46%削減の実現」に向けた具体策や道筋を示さなくてはなりません。
個人レベルでは、家の照明をLEDに替えたり、電気料金メニューで再エネ電気を選択したりするなどの省エネが、取り組みやすい「脱炭素化」です。経済的に許せば、オール電化の住宅や、太陽光発電システムの導入も一案です。
太陽光発電施設に投資するインフラファンドも注目されています。投資にはリスクもありますが、個人投資家として、健全な太陽光発電ファンドへ投資することもできます。
エシカル消費(倫理的消費)も、脱炭素化に貢献します。エシカル消費とは、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動のことを言います。人や社会に配慮された商品を見つけて、選んで購入すること。環境保護の観点で作られた包装紙やリユース製品など、二酸化炭素削減の工夫をしている商品の購入で貢献できます。日常生活で排出される二酸化炭素の約7割が、「食」「住居」「移動」に関連していますので、一人ひとりの生活での意識が、二酸化炭素の削減につながります。
移動の際に鉄道やバスなどの公共交通を利用したり、短距離の移動には自転車を使ったりすることも、個人でできる脱炭素化への取り組みです。自分の生活を振り返ってみて、できそうな脱炭素ライフスタイルを取り入れてほしいと思います。
「人生100年時代」と言われるいま。現在の中高生や大学生を含めた若い世代は、2100年代を生きる可能性が高いです。この世代は、脱炭素化を自分事として考え、「人」と「自然」と「安全な技術」が共生する、サステナブル(持続可能)な社会を望んでいます。
世界の人々が地球上で安心して暮らしていくため、「サステナビリティ」という考えを持ち、社会的な課題を自分事として考えていく。自分や家族のことだけではなく、世界にも目を向けていくことが「2050年カーボンニュートラル」の実現を可能にすると思っています。
取材・文/力武亜矢(日経xwoman) 写真/PIXTA
