削減だけでなく「適応」も必要に

 世界が一丸となって脱炭素化を進めて、仮に気温の上昇を1.5度で抑えられたとしても、少なからず温暖化による変化は起きます。サンゴの生息域は70~90%消失し、海洋の年間漁獲量は150万トン減少します。

 私たちは、温暖化ガス削減とともに、起こりうる気候変動による影響に「適応」していくことも考えなければいけません。過去に例がない量の豪雨や巨大台風からの被害を防ぐインフラの整備や、ハザードマップの普及、高温による熱中症対策などの「適応」計画も、「脱炭素」と同時に進めるべき対策です。

 「脱炭素」も「適応」も、少し前までの日本社会にはなかった取り組みです。既存の考えにとらわれない、新しいアイデアが必要です。温暖化ガス排出量の削減や環境適応のための技術は、日本の得意とするところではないでしょうか。「脱炭素・産業革命」とも言える今こそ、一人ひとりのアイデアやアクションには、とても大きな意味と力があります。

取材・文/力武亜矢(日経xwoman) 写真/PIXTA

小西雅子(こにし・まさこ)
小西雅子(こにし・まさこ) 世界自然保護基金(WWF)ジャパン 専門ディレクター、昭和女子大学特命教授兼務。博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。アナウンサーなどを経て現職へ。専門は国連における気候変動国際交渉及び環境・エネルギー政策。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会持続可能性委員会委員、環境省中央環境審議会委員なども務める。著書に「地球温暖化を解決したい エネルギーをどう選ぶ?」(岩波書店)など