『日経WOMAN』編集長・藤川が、年金など老後のお金について、『一般論はもういいので、私の老後のお金 「答え」をください!増補改訂版』著者の社会保険労務士・井戸美枝さんに疑問をぶつけるこの連載。“自分の老後は自分で守る”時代に、私たちはどんな備えをすればよいのでしょう。
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『日経WOMAN』編集長 藤川明日香(以下、藤川) 老後のお金で知りたいのは、一般的なケースではなく、自分自身にフィットした答え。今回は、「子育ての間、10年間専業主婦をしていた」というケース、そして「離婚を経験した」ケースについて教えてください。
井戸美枝(以下、井戸) はい。まずは、「子育ての間、10年間専業主婦になる予定」というA子さんのケースを見てみましょう。この方は、第1子産休中の現在36歳の女性です。
22歳から33歳まで年収300万円で正社員として勤務。33歳の結婚を機に、派遣社員となり、年収が250万円に。そして産休に入りました。今後の予定としては、1年間の育休後に派遣社員で復職したのち、第2子を40歳で出産、その後の10年間、50歳までは専業主婦をして、そのあと60歳までは夫の扶養に入りつつ、アルバイトで年100万円ほど稼ぐ予定です。
藤川 こういった人生設計を考えている方も多そうですね。A子さんが予定通りの人生を歩んだ場合、65歳からの受給額は年104万1500円という試算が出ています。
井戸 夫の受給額が年182万円ほどありますから、それでいいという方もいるかもしれませんが、少し人生設計を変えれば、自分の受給額を増やすことも可能です。
藤川 どうすればいいのでしょう。
井戸 はい、年金の受給額というのは、現役時代の厚生年金の加入期間に大きく左右されるんですね。ですので、答えは簡単ですが、専業主婦にならずに、この10年間も派遣社員として働き続け、厚生年金の加入を維持すること。年収250万円の派遣社員で働き続ける場合、年金額は年間で約131万円となり、専業主婦だった場合と比べて年間約27万円増になります。また50歳以降も、夫の扶養の範囲を超えて働き続けることでも、年金額がアップします。