『日経WOMAN』編集長・藤川が、年金など老後のお金について、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!増補改訂版』著者の社会保険労務士・井戸美枝さんに疑問をぶつけるこの連載。“自分の老後は自分で守る”時代に、私たちはどんな備えをすればよいのでしょう。

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『日経WOMAN』編集長 藤川明日香(以下、藤川) 老後のお金といえば、最近は「FIRE(ファイア)」という言葉をよく聞くようになりましたね。改めて、「FIRE」ってどういうものなのでしょうか?

井戸美枝(以下、井戸) はい、「FIRE」という言葉がトレンドですね。「FIRE」とは、経済的自立を意味する「Financial Independence」と早期リタイアを意味する「Retire Early」を組み合わせた造語です。全く働かないということでなく、投資の利益といった一定の不労所得を得ながら、“労働に縛られない状態”を手に入れるということ。貯蓄や退職金などを取り崩しながら生活していく昔のリタイアとは、ちょっと意味が違いますね。

藤川 「FIRE」は、もともとはアメリカで巻き起こったムーブメントだそうですね。

井戸 はい、そうなんです。ですので、注意点としては、日本では日本の年金制度に合わせたFIREをしないといけないということ。そうしないと、年金受給で大きく損してしまうんですね。

藤川 どういうことでしょうか?

井戸 例を見てみましょう。こちらの図は、平均標準報酬月額32万円(生涯の平均年収384万円)で試算した、リタイア年齢と、65歳以降にもらえる年金額です。年金受給額を大きく左右するのが、厚生年金の加入期間と、その間に支払った保険料。ですので、40歳でリタイアすると、65歳まで勤め上げた場合に比べて、年53万円も年金受給額が下がっていますね。

藤川 なるほど。ここで忘れてはいけないのが、年金は終身でもらえるお金、ということですね。

井戸 そう、生涯この額がずっと続きます。もし90歳、100歳まで生きたら…と考えると、とても大きな差を生みますね。日本では、厚生年金保険料の半分を会社が負担してくれています。こうした手厚い制度のある日本では、リタイアが著しく不利になってしまうということです。

こちらのテーマを解説した動画「日本でFIREするのは損? 『おすすめは○○FIRE』」がYouTubeで公開中!
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