2021年6月の株主総会を通して、上場企業各社が新役員体制を発表した。今年度のキーワードは女性登用だ。金融庁と東京証券取引所が6月、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の改訂版を施行し、「多様性確保」を上場企業に求めている。D&I経営というグローバル基準にいち早く対応し、女性取締役が誕生している企業はどこか?
日経xwoman編集部では、東証1部上場企業2191社の時価総額ランキング上位300社を対象に、女性取締役の人数や個人名を調査した。女性取締役比率、女性取締役ゼロ企業、株価や業績との関連などを分析しランキング形式で発表する。今回は女性取締役が3人以上いる企業に注目。「女性活躍推進法」が施行された5年前(2016年)からの変化を見ていきたい。さらに、その中で、2021年に内部昇格した女性取締役を紹介する。各社のD&Iに向かう姿勢が分かる。(文/日経xwoman・内田久貴)
女性取締役の数は、着実に増えている。東証1部上場企業、時価総額ランキング上位300社(2021年7月6日時点)のうち、女性取締役が3人以上いる企業は28社、全体の9%だった。一見、まだまだ少なそうに感じるが、実は現在3人以上いる企業でも2016年には1~2人というケースがほとんど。「女性活躍推進法」が施行された5年前から、企業が積極的に女性登用を進めてきた努力の跡が見てとれる。
ここで女性取締役の比率ではなく、合計人数に注目する理由は、取締役会の多様性確保の目安になるためだ。女性取締役の数は、多くの企業ではいまだに1~2人と圧倒的な少数派。取りあえず社外から1人、ビジネスや文化面で実績のある著名な女性を1人招き入れた……とも見える企業が少なくない。
女性が1人しかいない男性ばかりの集団は、物おじせずはっきりと物申せる環境と言えるだろうか。学校や会社で、そうした状況に身を置いた経験がある読者ならお分かりいただけると思うが、答えは否だ。3人以上いることで、女性の存在感が増し、心理的安全性が高まり、その結果、取締役会が多様な意見の場になるだろう。
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