2021年6月の株主総会を通して、上場企業各社が新役員体制を発表した。今年度のキーワードは女性登用だ。金融庁と東京証券取引所が6月、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の改訂版を施行し、“多様性確保”を上場企業に求めている。D&I経営というグローバル基準にいち早く対応し、女性取締役が誕生している企業はどこか?
日経xwoman編集部では、東証1部上場企業2191社の時価総額ランキング上位300社を対象に、女性取締役の人数や個人名を調査した。女性取締役比率、女性取締役ゼロ企業、株価や業績との関連などを分析しランキング形式で発表する。今回は、企業からニーズが高まる女性社外取締役に焦点を当てる。どのような人物が人気なのかを見ていきたい。また、各企業の女性取締役比率を5年前と比べて、大幅に上がった企業、急落した企業をチェックする。(文/日経xwoman・内田久貴)
女性取締役の比率がここ数年、急伸している企業が続出している。その実態をつぶさに見ると、社外取締役に女性を起用しているケースが多い。社内で取締役を育てるよりも、手間も時間もかけずに女性比率を上げられるため、多用されているというのが実情だ。そこで、実際にどのような人物が社外取になっているのかを調べた。
需要過多で供給不足の女性取締役
東証1部上場企業の時価総額ランキング上位300社の女性取締役数は、2021年7月時点で394人。その中で社外取は355人いる。しかし、これは延べ人数であり、実は複数の企業の社外取を兼務している人が多い。今回調査した300社では、56人が2社以上を掛け持ちしていた。
こうした現状は明らかに、女性取締役が需要過多で、供給不足と断言していい。すなわち、女性を経営層にまで育成するような意識や体制が日本全体で足りなかったことの証左ではないだろか。優秀な女性が社外取に起用されることに異論はないが、各社とも同じ顔ぶればかりが並ぶ現状は改善されるべきだろう。
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