「やらないことがリスク」と経営層に思わせる

宮間 情報が少ないと、ネガティブになりがちです。ダイバーシティもそうですが、新しいことを提案したとき、知識や情報が少ないまま両手を挙げて賛同してくれる人は非常に少ないですよね。しかしある程度、世の中の動きや情報が経営層にインプットされて、理解が高まってくると、「やらないことがリスクではないですか?」という言葉が響くようになります。粘り強く情報を提供して、理解してもらい、賛同者になってもらう。その努力を続けることが大事ではないでしょうか。

―― 宮間さん自身は、誰かに「育成された」「引き上げられた」という経験はありますか。

宮間 内永ゆか子さんが理事長を務めるNPO法人J-Winに加入し、経済同友会会員の男性の方にメンタリングをしてもらったことがあります。当時はICT系技術部門の部長として6年目。仕事にも慣れ、ここからどうステップアップしたらいいか迷っていた頃でした。「伝統的な会社で上を目指すために何が必要なのか」と悩みを相談したところ、「こういうステップで考えましょう」という提案をすぐにメールでもらい、それを一つひとつ実行していきました。

 「社内の上の立場の人たちに会って、自分へのフィードバックをもらう」という課題から、「『アナと雪の女王』を見たほうがいい」というアドバイスまでありました。全く違う世界で生きてきた人から、異なる思考法を教えてもらえたのは、刺激的でしたね。同時に、自分でもDNPの事業構造を分析して課題を洗い出し、リポートを作って提出し、上の人と意見交換させてもらうなどの活動を地道に行ってきました。そのような活動が評価されてか、2014年に事業部から突然本社部門に異動となりました。

どの分野の担当になっても最大限の力を発揮できるようにする

―― 上場企業における女性の取締役は増えていますが、広報や人事など特定の分野に偏りがちな印象も受けます。

宮間 私は研究開発、技術開発、スタッフ部門などさまざまな仕事を経験させてもらい、「営業以外はやりました」と言えます。女性だから人事担当の役員になった、というよりは、「いろいろな経験をするなかで、今のポジションがたまたま人事系なだけ」と理解しています。

 人財開発の仕事は、人を通して事業にどう貢献するかを考えること。技術開発や営業のように直接利益を生み出すわけではないけれど、会社の中で果たせる役割はとても大きいはずです。たとえどの分野の担当になっても最大限の能力を発揮できるようにしておくことが大事です。私も最大限、力を発揮したいと思っています。

取材・文/久保田智美(日経xwoman) 写真/鈴木愛子