2021年度の株主総会で誕生した多くの女性取締役のうち、「生え抜き」の社内取締役はほんの一握り。ニトリホールディングス 取締役の安孫子尋美さんもその1人だ。1984年に入社して以来、商品開発やコーディネートの部門で活躍してきたが、2015年から執行役員として商品部プランニンググループ マネジャーを経て、初の女性取締役に選任され、人材教育部門を率いることとなった。グローバル化と事業領域の拡大を掲げる同社において、人材開発は要。安孫子氏にその要職を担う決意を聞いた。

似鳥会長の特命で「アメリカ研修」の運営を20年間担当

日経xwoman(以下、略) 2021年5月13日に取締役 人材教育部ゼネラルマネジャーに選任されました。長年商品開発部門で経験を積んだ安孫子さんが、人材育成部門を率いる狙いはどのようなところにあるでしょう。

ニトリホールディングス 取締役 安孫子尋美さん(以下、安孫子) 私は入社以来37年間のキャリアのうち、約15年間を商品部でブランドづくりやコーディネートの開発に携わってきました。

 一方で、弊社で重要な人材教育の一環として実施している「アメリカ研修」の運営を1998年から担当してきました。毎年1200人ほどの社員を米国へ送り、流通を学ぶのです。40年ほど続く研修です。弊社はチェーンストア志向の企業ですが、当時日本ではまだチェーンストアの完成形が確立されていなかったので、米国から学ぶようになったのです。

 流通の仕組みに加え、豊かな暮らしをチェーンストアが作り上げる米国のシステムを学び、「住まいの豊かさを世界の人々に提供する」というニトリのロマンとビジョンを社員で共有するのもこの研修の目的の1つです。

 この研修を、私は20年以上の間、どんな職位、職場にあろうとも、似鳥昭雄現会長の指名を受けて毎年担当していました。商品開発に携わりながらチェーンストア理論やコーディネーションのスキルについて社員に伝えるということを長年行ってきましたので、今回、その分野に集中してほしいというのが任命の意図だと受け止めています。

 商品部門からは離れましたが、教育の中でコーディネーションや商品作りのポリシーやノウハウを教えるということは継続しています。経験値を生かして、社員に豊かな暮らしとは何か、ニトリのフィロソフィーを伝えていきたいと思っています。

安孫子尋美(あびこ・ひろみ)/1984年ニトリ入社。商品開発部門で実績を積み、出産から時短勤務を経て2007年に商品部シーゾナルバイヤーマネジャー、15年執行役員として商品部コーディネート商品企画マネジャー、17年上席執行役員、18年上席執行役員として商品部プランニンググループ マネジャーを担当。20年常務執行役員、21年3月常務執行役員 人材教育部ゼネラルマネジャー(現任)、同年5月から取締役、ニトリ大学学長に就任
安孫子尋美(あびこ・ひろみ)/1984年ニトリ入社。商品開発部門で実績を積み、出産から時短勤務を経て2007年に商品部シーゾナルバイヤーマネジャー、15年執行役員として商品部コーディネート商品企画マネジャー、17年上席執行役員、18年上席執行役員として商品部プランニンググループ マネジャーを担当。20年常務執行役員、21年3月常務執行役員 人材教育部ゼネラルマネジャー(現任)、同年5月から取締役、ニトリ大学学長に就任