2022年6月、東証プライム市場がスタートして初の定時株主総会が終了した。プライム市場上場企業は、高いガバナンス(企業統治)が求められ、取締役会の機能について厳しい原則が課せられている。コーポレートガバナンス・コードでは「取締役会は、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである」と明記されている。
日経xwoman編集部では21年に続き、今年も女性取締役について独自調査を実施した。対象は、東証プライム市場上場企業1837社の時価総額ランキング上位500社。女性取締役の人数や個人名、生年月日、略歴などを調査分析した。この連載では、企業の女性取締役の比率・人数、女性取締役がいない「多様性ゼロ企業」、22年の昇格組や、人気の社外取締役についてリポートする。
今回は「女性取締役ゼロ」の企業を公開する。(文/日経xwoman 内田久貴)
前回の記事では、女性取締役比率が高い企業、また女性取締役が4人以上いる企業についてリポートした(「22年女性取締役ランキング 一歩前進、人数2割増える」)。今回は、逆に女性取締役がいない企業に焦点を当てたい。
プライム500社中、44社に女性取締役がいない
今回も調査対象は、東証プライム市場上場企業1837社の時価総額ランキング上位500社だ。まずは前年、つまり東証1部の頃と比べて、各企業の女性取締役の数の変化を調べた。
上位500社のうち、前年より女性取締役が増えた企業は2割以上、21.2%もあった。逆に減った企業はわずか2.2%にとどまる。最も多かったのは「前年と変わらない企業」で76.4%。この中には、前年に引き続き女性取締役がゼロの企業も多く存在する。
1人も女性取締役がいないプライム企業は、上位500社のうち44社、8.8%(44社のリストは次ページ以降に掲載)。時価総額ランキングの上位に名を連ねる日本を代表する企業にもかかわらず、多様性を経営に取り入れることの意味を理解せず、女性登用は不要と考えているように見られても仕方ない。
プライム市場の開設に先駆けて、21年6月に新設されたコーポレートガバナンス・コードの補充原則2-4 1。ここには「上場会社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、その状況を開示すべきである」とはっきりと記されている。
社内で女性リーダーを育成できていない場合、「多様性ゼロ企業」から脱却をはかるために、社外取締役に女性を起用する企業もある。
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