2022年6月、東証プライム市場がスタートして初の定時株主総会が終了した。プライム市場上場企業は、高いガバナンス(企業統治)が求められ、取締役会の機能について厳しい原則が課せられている。コーポレートガバナンス・コードでは「取締役会は、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである」と明記されている。
日経xwoman編集部では21年に続き、今年も女性取締役について独自調査を実施した。対象は、東証プライム市場上場企業1837社の時価総額ランキング上位500社。女性取締役の人数や個人名、生年月日、略歴などを調査分析した。この連載では、企業の女性取締役の比率・人数、女性取締役がいない「多様性ゼロ企業」、22年の昇格組や、人気の社外取締役についてリポートする。
今回は、女性取締役の年齢構成や、社外と社内の比率、そして22年に昇格した女性取締役の顔ぶれを見ていく。(文/日経xwoman・内田久貴)
22年の定時株主総会を経て、女性取締役の人数は昨年比2割増えた(21年7月に調査した東証1部上場企業の時価総額上位300社と22年7月のプライム市場上位300社の比較 「22年女性取締役ランキング 一歩前進、人数2割増える」)。
プライム企業のうち時価総額ランキング上位500社では、どのような人物が取締役として登用されているのだろうか。まずは、下図で、年齢構成を示した(年齢は22年7月1日時点)。
均等法第1世代がメインストリームに
プライム企業上位500社に女性取締役は現在741人いるが、複数の企業で社外取締役を兼務している人もいるため、実数は585人。最も多いのは60代前半で156人、次いで50代後半が129人だ。均等法第1世代(男女雇用機会均等法が施行された1986年から90年ごろまでに就職した世代)が核になっている。
この世代の社内取締役は、ロールモデルと呼べる先輩女性管理職がいない中、手探りで自分のキャリアを積んできた結果、昇格している。また社外取締役は、弁護士や会計士、大学教授として実績を積んだうえで、登用されるケースも多い。
主流は均等法第1世代とはいえ、現役女性取締役の年齢は22年7月時点で30代前半から80代までと幅広い。最年長は、テクノプロ・ホールディングスの社外取締役、坂本春生さん(84歳)だ。同社は人材派遣会社のテクノプロなどを統括する持ち株会社である。坂本さんは、通商産業省(現経済産業省)出身で、大手スーパーの西友や西武百貨店で副社長まで務めた後、横浜銀行、三菱自動車工業で社外取締役を歴任したベテランだ。
一方で、最年少は34歳で2人いる。自動車メーカー、スズキの山井梨沙さん(スノーピーク社長)と、ロート製薬の米良はるかさん(READYFOR CEO)。それぞれ自社の代表を務めながら、他社の社外取締役を兼任している。
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