2月4日は立春、暦では春を迎えました。とはいえ、春は名のみのまだまだ寒さが厳しい時期ですし、1月下旬に発表された1カ月予報では、2月は平年より気温が低いと予想され、春の足取りは遅い可能性があります。そんな中でも、何か春の兆しを探してみたり、見つけたりすると気持ちがほっこりして誰かに伝えたくなりますね。気象予報士・伊藤みゆきさんが、春の兆しである「春一番」について解説します。
春一番とは、冬から春へ季節が移り替わる中で初めて吹く「暖かい南寄りの強い風」です。去年は2月4日に関東で春一番が吹きました。1988年の2月5日を上回り、観測史上最も早い春一番となりました。2019年には北陸でも2月4日に吹いています。
気象庁ホームページ(HP)の用語解説では、「立春から春分までの間に、広い範囲(地方予報区くらい)で初めて吹く、暖かく(やや)強い南よりの風」とあり、地方予報区というのは、関東や近畿、四国などを指します。
北海道と東北は、この期間中はまだ冬という地域が多いため発表対象外、逆に沖縄は、期間中にはすっかり春本番を迎えることから発表対象外です。具体的な風速などはその地方ごとに定義が分かれていて、関東では、以下の4つが条件です。
2.東京で平均風速8メートル以上
3.南寄り(西南西~東南東)の風
4.前日よりも気温が上がる
この条件、しばしばクリアが難しく「春一番がなかなか都心まで届かない」問題として、毎春ハラハラします。今回は春一番を例に、天気予報の難しさと対処法についてお伝えします。
天気予報では、毎年必ずと言っていいほど、「日本海に低気圧があり、関東地方は南風が吹いて気温が上がるでしょう。この南風は『春一番』になりそうです。東京の予想最高気温は昨日より5度高い16度です」などという日がやってきます。
この関東の春一番の予報シナリオ、実は外れてしまうことも度々あるのです。もう10年以上前になりますが、早朝番組を担当していたメンバーで「きょうは春一番が吹いて気温が上がるから、公園でランチしよう」と企画。朝は5~6度でしたが、昼間は15度くらいと、早めのお花見にはまずまずの予想でした。ところが、昼になっても晴れず、南風も吹かず、気温は8度ソコソコ……。予報が外れた罰ゲームのような寒いランチになりました。