アジサイが「咲く」とは?

 実は、色づいた部分は「装飾花」という「ガク片」、開花を観測する部分ではありません。正解は、花びらのように見える装飾花の間にある「真の花(両性花)」がひっそりと開いたときです。

アジサイの真の花(写真中央)。通常は球のように集まっている装飾花に隠れているので、遠目からは確認できないことが多い。2021年6月8日、装飾花をかき分けて撮影させてもらった
アジサイの真の花(写真中央)。通常は球のように集まっている装飾花に隠れているので、遠目からは確認できないことが多い。2021年6月8日、装飾花をかき分けて撮影させてもらった

 気象庁の生物季節観測指針によると、

 あじさいは梅雨の頃、変色する装飾花が集まって半球または球状に開き、径7ミリほどの真の花(両性花)が装飾花の柄が集まった中心で開きます。あじさいの開花日とは、標本木でこの真の花が2~3輪咲いた状態となった最初の日をいいます。

 とあります。

 つまり、アジサイが咲いたのは遠目からでは分からないのです。また、開花を伝える場合も「桜が咲きました」と同じトーンで「アジサイが咲きました」とは言い難く、「色づいている花びらのように見える部分の奥にある『真の花』が咲きました」とまどろっこしくなってしまいます。近年は番組リスナーの皆さんもこのややこしい報告に慣れて、真の花パトロールをしてくれるようになりました。

 装飾花が色づいてからしばらくたたないと、真の花は開きません。毎年、色づいたアジサイに近づき、ちょっと失礼して装飾花をかき分けて真の花の様子を観察させてもらっています。

 今年はぜひ、「真の花の開花」を見つけてみてください。気象庁HPにあるアジサイの開花前線によると、九州から本州は梅雨の最盛期ごろに開花する傾向にありますから、雨の季節の楽しみの一つになるかもしれません。

あじさいの開花前線。過去30年間の平年値によると、6月上旬に九州~近畿、6月 20 日ごろには関東南部にかけてで、色づく時期よりも遅い。北海道北部まで北上するのは8月に入ってから(気象庁HPより)
あじさいの開花前線。過去30年間の平年値によると、6月上旬に九州~近畿、6月 20 日ごろには関東南部にかけてで、色づく時期よりも遅い。北海道北部まで北上するのは8月に入ってから(気象庁HPより)
今月の季節のことば
「雷三日」

 快適な5月ですが、防災の面では、本格的な梅雨の大雨や梅雨の後にくる真夏の暑さに備える時期に当たります。今年は4月中にも「夏を思わせる暑さ」の日が何度かあり、23日には甲府で真夏日になりました。「夏のような」といっても、まだ夏本番ではありません。