6月といえば梅雨、天気予報や空を見て気分も晴れない日が増える時期です。およそ40日前後の雨の季節ですが、晴れた日にはさまざまな「虹」を見つけることができます。気象予報士・伊藤みゆきさんが梅雨時の「虹」について解説します。

 「虹」というと、雨上がりに空にかかるもの=大前提として雨が欠かせないと思われがちですが、雨が全く降らなくても空に虹色が現れることがあります。まず、最も遭遇率が高いのが「ハロ(日暈)」です。

 真っ青な空ではなく白っぽくかすんだ青空や、薄雲が広がった時、太陽の周りに現れる虹色の輪っかです。太陽の位置が低い時は円が大きく、太陽が高いところにあると円が小さく見えます。

ハロ。薄雲を透かした太陽の周りに現れる虹色の輪。2017年6月10日正午ごろ撮影
ハロ。薄雲を透かした太陽の周りに現れる虹色の輪。2017年6月10日正午ごろ撮影

 写真のような状態を肉眼で見ると、目を傷めてしまう恐れがあります。できれば太陽を街灯や樹木、建物などで隠して観察してください。夜、満月に近い明るい月が出ている時にも月の周りに虹色の輪が現れることがあります。「月暈(つきがさ)」と呼ばれています。満月近くというと1カ月に数日間しかなく、そのタイミングで月に薄い雲がかかる条件はなかなかそろわず、日暈よりもレア度はかなり高くなります。私もはっきりした月暈はこれまでで1度しか見たことがありません。

 次に紹介したい「虹」は「幻日(げんじつ)」です。太陽が低い位置にある朝や夕方に見られることが多い現象です。形は太陽くらいの大きさの球状だったり、しずく型を横にしたような形だったりします。出る位置は、「ハロ」の円周上で太陽と水平の位置に現れるため、太陽からやや離れた位置に向けて水平に視線を移してみてください。太陽の左右対称に見られることもあれば、片方だけのこともあります。