受験のために退職し、3回目の受験で合格
幸いなことに勉強を始めて半年後、初受験でマークシートの「学科」が2つとも合格。まさか一度目のチャレンジで受かるとは思っていませんでした。受験に集中するため、合否発表前に会社は辞めて退路を断っていましたので、絶対に「実技」も受かって気象予報士になろうと、決意を新たにしました。
それから1年後、3回目の受験で合格したときには、「このとき以上に頑張ったことはない」という人生経験を得られました。というのも、試験免除の最後のチャンスとなった1997年の8月は、昼間に眠って夜間に勉強。食事は栄養バランスを考えつつ、最小限の量にとどめました。満腹で眠くなるのを予防したのです。
そうして気象予報士に合格した半年後、日本テレビCS放送の「NNN24」から気象キャスター人生が始まりました。
試験合格後、半年で資格を生かすことができたのは「女性予報士がまだ100名未満」と若干売り手市場だったことと、証券会社の接客で受け答えに慣れていたのが幸いしたと思います。試験合格を予報会社に報告したとき「しばらく仕事(オーディション)はないかもしれないから、食いつなぐバイトは探しておいたほうがいいよ」とアドバイスされ、実際に派遣社員として3カ月間、コピー機の商品説明をしました。
気象予報士というと気象キャスターが主な仕事と思われがちですが、放送局向けに天気のアドバイスをしたり、アナウンス原稿を書いたり、特定の地域や企業向けに気象情報を提供したりする仕事もあります。一方で、気象に携わる仕事に就かない・就けない人が一定数いるのが現状です。
2013年に気象庁が郵送にて実施した気象予報士現況調査(送付数8935通・回答数3875通)によると、全体の76%の就業者のうち 31%が気象に関係する業務(気象の予報や解説/その他の気象関連業務が半々)に従事しているそうです。
全体の57%は、気象予報士資格が業務や社会活動等に役立ったと回答。気象業務に就いていなくても、防災関係の活動等に資格が役立ったという回答が多いようですが、返信がなかった方々は役立っていないという可能性もあります。
年齢制限もなく一生モノの資格ですが、ブラッシュアップなどのフォローも必要かと思います。
私が受験した20年以上前からすると、気象情報の種類が増えて予報精度が上がり、世間の気象に対する理解度も格段に上がりました。

受験勉強の難関「大気の状態が不安定」は、その仕組みを理解するのにかなりの時間を要しましたが、今や「それなら雷雨や大雨に注意だね」となる合言葉として用いられています。
勉強していた頃は、気象予報士ではない自分の家族や友人が「大気の状態が不安定」という言葉を使うようになるとは思いませんでした。