9月の季節の彩りパトロールのテーマは彼岸花。秋の訪れを告げる植物はいくつかありますが、気象予報士の伊藤みゆきさんによると、彼岸花は「裏切らない花」なのだそうです。果たして、その理由は? また知っているようで、いざとなると説明できない「季節の言葉」についても紹介します。

「暑さ寒さも彼岸まで」は本当?

 9月に入った途端、関東は一気に涼しくなりました。今年はお盆にも長雨になるなど陽気の変動が大きくて、ぶり返す暑さは身にこたえます。

8月15日6時の天気図/長く延びた前線の南北で高気圧が「ほとんど停滞」というお盆には稀(まれ)な形。2つの高気圧どちらも譲らず、前線付近で大雨に。大雨の特別警報も発表された。9月1日にもこの時のように前線が現れ、再び涼しくなった(図/気象庁提供)
8月15日6時の天気図/長く延びた前線の南北で高気圧が「ほとんど停滞」というお盆には稀(まれ)な形。2つの高気圧どちらも譲らず、前線付近で大雨に。大雨の特別警報も発表された。9月1日にもこの時のように前線が現れ、再び涼しくなった(図/気象庁提供)

 平成初期は、8月下旬にはレザーやウールといった秋を先取りした装いがみられましたが、近年は9月になっても猛暑が続く傾向です。

 昨年は9月3日に新潟県の三条市で40.4度、胎内市で40.0度を観測。

 埼玉県熊谷市で観測した9月の全国歴代最高気温39.7度(2000年9月2日)を更新して、初の「9月の40度」を記録しました。台風9号が日本海を進んだことによるフェーン現象が原因でした。

 気象の四季の区分でも9月からは「秋」ですが、まだまだ「真夏日(最高気温30度以上)」も当たり前のように現れます。

 そうなると、いつ本格的に涼しくなるか知りたいところですが、東京の最高気温の平年値を見ると、7月中旬から9月上旬までは8月上旬をピークに30~32度くらいで経過しますが、9月下旬には25度くらいと大幅に低くなります。

 だんだん日没が早くなることで、太陽が空気や地面を温める時間が短くなるのも涼しくなっていく一因です。

 この9月下旬に気温が下がるというデータは、まさに「暑さ寒さも彼岸まで」を裏付けます。暑さが一段落するのを待っているのは、私たち人間だけではありません……。文字通り「彼岸花」もその1つです。