気象予報士・伊藤みゆきさんによる10月の季節の彩りパトロールのテーマはキンモクセイ。かぐわしい香りに秋を感じますが、今年は異例の早さで咲いてしまいました。また、早くにキンモクセイが咲いた年は、「秋の桜」まで咲く可能性があるそうです。さて、その理由は? 今月の季節の言葉は「木枯らし1号」について紹介します。

今年のキンモクセイ開花は異例の早さ

 早いものでもう10月、今年も残すところ3カ月です。

 例年は9月下旬から10月上旬に各地でキンモクセイが咲き、秋の香りに包まれるのですが、今年はかなり早く、東京では9月10日あたりから一斉に咲き始めました。

大相撲の秋場所初日に満開というのは、かなり早い。2021年9月12日、東京・両国国技館前にて撮影
大相撲の秋場所初日に満開というのは、かなり早い。2021年9月12日、東京・両国国技館前にて撮影

 私が個人的にキンモクセイ開花の目安にしているのが「東京・代々木公園の北海道フェア」です。

 毎年10月最初の週末に代々木公園で行われる北海道の物産・観光イベントで、のべ40万人が来場、2019年で31回を数える恒例行事でした(2020年・2021年は中止)。

 いわば「歩いて行ける北海道」、テントで北の大地の恵みを堪能しているとキンモクセイの香りが漂ってきて「今年も秋を迎えたね」と実感していました。

 フェアが中止になった2020年も10月の第一金曜日に初めてキンモクセイの香りをキャッチ、2019年は高温の影響で開花が遅く、香りに気づいたのは10月13日でした。

 ちなみに10月2日生まれの先輩は「毎年、誕生日ごろに香りだす」というのを目安にしています。みなさんにも秋の訪れが早い・遅いを測る基準があるのではないでしょうか。

 今年は一気に涼しくなった9月半ばにキンモクセイのピークが到来。あまりの早さに自分の鼻を疑ってしまったほどですが、ほぼ同じ時期に担当しているラジオ番組にも「香りがした」「花が咲いた」とのお便りが相次ぎました。

 ところで、キンモクセイは北海道や沖縄では、ほとんど咲かないようですね。

 北海道の方から「各地で盛り上がっていてうらやましい」「どんな香りか感じてみたい」とお便りが届いたり、以前、代々木公園で「沖縄にはないんだから、よーく香りをかいでおいて」とお子さんに教えているお母さんを見かけたりしたことで知りました。

 北海道や沖縄の方にもキンモクセイの香りを味わっていただきたいと思うものの、花の期間が短いのが難点です。ひと雨で一気に落ちてしまうこともあります。

 満開時期と旅先での滞在が重なったらラッキー!なのは、「春の桜」以上かもしれません。